がろはる_喜

このページではイケメン戦国信玄のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!

ぱいせん_喜

今回の「隠された半月、半分の心」第八話中盤の恋の試練プレミアストーリーになるぞ!!

プレミアストーリー「隠された半月、半分の心」

信玄や春日山の人との会話を重ねる度に信玄に惹かれていく主人公

顕如との会談から帰ってきた信玄は主人公の元へ向かいます

※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。


武田信玄

待たせたな、姫君

イケメン戦国_主人公

信玄様!

イケメン戦国_主人公

(やっと、いらっしゃった)

イケメン戦国_主人公

どうぞ、入ってください

返事をすると、静かに襖が開き…

武田信玄

ただいま

信玄様が、するりと部屋の中に足を踏み入れた。

イケメン戦国_主人公

おかえりなさい。遅かったですね

信玄様は私を見て、にやりと笑う。

武田信玄

いいね、君にお帰りなさいって言われるのは、悪くない
新妻を迎えた気分だ

イケメン戦国_主人公

新妻……っ?

甘い響きに、どくっと鼓動が跳ねた。

イケメン戦国_主人公

(たしかに、人質として滞在してるのに、お帰りなさいって変だった…)

イケメン戦国_主人公

う……信玄様が、ただいまなんて言うから釣られたんです

我ながら、苦し紛れの言い訳をする。

武田信玄

そうだな。君のそばがあんまり心地いいから、自然とそう言ってしまった

イケメン戦国_主人公

(信玄様……?なんだか、いつもと雰囲気が違うような……)

いつもと同じで顔を見るなり口説いてくるくせに、
どことなく物憂げな表情が気になった。

イケメン戦国_主人公

もしかして、疲れていらっしゃるんですか?

武田信玄

そう気遣われると、ますます新妻に見えてくる

イケメン戦国_主人公

(もう……っ)

イケメン戦国_主人公

茶化さないでください……っ

武田信玄

茶化してなんてない。君みたいな子が奥さんだったら、毎日が愉しいだろうな

はぐらかされてるのがわかって、心の中にもやもやが広がった。

イケメン戦国_主人公

(どうしたら、この人の本音にもっと触れられるんだろう)
(何かあったなら、言ってほしいのに)

戸惑う私をよそに、信玄様は畳に腰を下ろした。

武田信玄

さてと……。灯りを消してくれないか、姫君

以前の月見と同じ言葉を言われ、私は迷いながら頷く。

イケメン戦国_主人公

っ……わかりました

イケメン戦国_主人公

(とりあえず、月を見ながら信玄様と話をしてみよう)

行燈の灯りを落とすと、部屋は暗闇に包まれた。

イケメン戦国_主人公

(半月だと、余計に暗い……)

鼓動が速まっていくのを感じながら、朧げに見える信玄様の姿を見つめる。

イケメン戦国_主人公

(なんだか……今日は、信玄様が遠い気がする)

闇の中に溶けこんだ大きな身体を見ていると、
どうしてか不吉な予感に胸がざわめく。

イケメン戦国_主人公

(信玄様が……儚く見える)
(儚いだなんて、普段の信玄様だったら、絶対に似合わないような言葉だけど……)

武田信玄

どうして、そんなに不安そうな顔をしてる?君には似つかわしくない表情だ

イケメン戦国_主人公

っ……私じゃ、ありません。いつもと違う顔をしてるのは、あなたの方です

武田信玄

君には、そう見えてしまうのか

信玄様の瞳が静かな光をたたえて私に向けられている。
それが落ち着かなくて、そわそわと半月に視線を逸らせた。

イケメン戦国_主人公

月、見ないんですか?

武田信玄

ああ。もう、見ない

イケメン戦国_主人公

(え……)

きっぱりと即答する信玄様に、私は目をみはる。

イケメン戦国_主人公

どうしてですか?お月見がしたいって言ってましたよね

武田信玄

月見は、君に逢うための口実だ
君だって、薄々はわかってただろ

イケメン戦国_主人公

……っ……そんなこと……

反論しようとして、言葉が出て来なくなった。

イケメン戦国_主人公

(わかってた……のかもしれない)
(一番最初は強引に始まった月見も、二回目は合意の上だった)
(そして三回目の今は……私は信玄様に逢うのを、はっきりと楽しみにしてた)
(月見っていう口実で、自分を誤魔化して……夜の部屋に信玄様を招き入れた)

武田信玄

もう、口実は使わない。限りある時が、惜しいからな

イケメン戦国_主人公

何、言って……

信玄様は気だるげに立ち上がり、障子を閉めた。
頼りない半月は障子の向こうに隠され、視線の逃げ場を失った私は信玄様を見上げる。

イケメン戦国_主人公

(危ない、気がする。このままじゃ……)

武田信玄

どうする?姫君

月影にぼんやりと白くなった障子を背に、信玄様が笑う。
囁いた声にまで危うい色香が滲み、そのせいで身じろぎが取れなくなった。

イケメン戦国_主人公

(今すぐに逃げたいのに……どうして)
(頭の中身を、整理する時間がほしい)

イケメン戦国_主人公

っ……待ってください……

武田信玄

却下だ

イケメン戦国_主人公

(そんな……っ)

イケメン戦国_主人公

っ……お願いします、十秒で、いいですから……

回らない思考で必死に訴えると、信玄様が怪訝(けげん)な顔をした。

武田信玄

十秒?

イケメン戦国_主人公

(あ…この時代には秒って単位がないんだった)

イケメン戦国_主人公

ええっと……すごく短い時の区切りのことです
私の故郷では、そういう単位があって……

イケメン戦国_主人公

(五百年後から来たってことは、バレないようにしないと……)

しどろもどろに説明する私を、信玄様が面白そうに見つめる。

武田信玄

すごく短いっていうのは、いったい、どのくらいなんだ?

イケメン戦国_主人公

一秒が、このくらいです

小さく両手を打つと、ぱん、という乾いた音が闇に吸い込まれる。

武田信玄

へえ…本当に短い区切りだ
初めて聞いた概念だ。君には……謎があるみたいだな

心の奥まで見透かされてしまいそうなほど強い視線が、私を貫いた。

イケメン戦国_主人公

そうでしょうか……っ?

イケメン戦国_主人公

(疑われてる……?)

信玄様はゆっくりと私に近付いて、目の前で立ち止まる。

武田信玄

君をさらう前、散々、身元を調べたが……
君が安土城に連れて来られる前のことは、何ひとつ出て来なかった
まるで、君の存在自体がこの世になかったかのように

イケメン戦国_主人公

それは……っ

口ごもる私を、信玄様は宥めるように声をかけた。

武田信玄

言えないのなら、それでもいい。俺も君にすべてのことは言わない
お互い秘めごとが多い方が、男女の仲は盛り上がる
君のことは、本物の天女とでも思っていることにしよう

イケメン戦国_主人公

(隠し事がある時点で、私に信玄様を追及する権利はない……ってこと?)

ひどく優しい口調が、かえって切なさを加速させた。

武田信玄

秒っていう言葉、気に入ったよ

イケメン戦国_主人公

え?

武田信玄

瞬きをするような、短い単位っていうのがいい
それだけたくさん時があるような気がして、贅沢な気分になれる

信玄様は私の前に膝をつき、そっと頬に手を伸ばした。

武田信玄

なあ、姫君……俺が君といられるのは、あと何秒なんだろうな

イケメン戦国_主人公

っ……信玄様…?

イケメン戦国_主人公

(どういう、意味――)

尋ねようとした瞬間、たくましい腕が私の身体に伸ばされ……

イケメン戦国_主人公

(あっ)

視界が反転し、押し倒されたのだと気付いて頭が真っ白になった。

武田信玄

この続きをするかしないかは君次第だ
願い通り……十秒待とうか。それで答えが出ないなら、もう待たない


武田信玄

君の…すべてを奪う

イケメン戦国_主人公

(っ……んっ……)

抗う間もなく、首筋に唇が落とされる。

武田信玄

一、二、三……

吐息混じりの囁きが、濡れた唇とともに薄い皮膚を滑った。

イケメン戦国_主人公

(だめ……)

イケメン戦国_主人公

っ…信玄、様…ぁ……っ

イケメン戦国_主人公

(こんなふうにされたら、きっと認めてしまう)

熱い感情の塊がお腹からせり上がり、警鐘めいた予感が走るけれど――
全身の力が抜け、どうしようもないくらいに思い知らされた。

イケメン戦国_主人公

(私は……この人のことが、好きなんだ)
(もう取り返しがつかないくらい、とっくに好きになってたんだ)

イケメン戦国_主人公

は、ぁ……っ

イケメン戦国_主人公

(信玄様……)

触れられたいと、溶けあいたいと、苦しいほどに心も身体も叫んでいる。
けれど、最後に残った理性の欠片が、哀しく胸に刺さった。

武田信玄

……七、八、九、

イケメン戦国_主人公

っ、だめ、です……

武田信玄

……っ

激しい熱を孕んだ瞳が戸惑うように揺れるけれど……

武田信玄

……今夜も、フラれたなー

信玄様はそっと、私から離れて笑う。

イケメン戦国_主人公

(あ……)

武田信玄

おやすみ、俺の天女

お決まりのような甘い戯言も、どこか寂しげに響き……

イケメン戦国_主人公

(行かないで、なんて言えるわけない)

去っていく信玄様を見送る私の身体は、持て余すほどの熱に疼いていた。


がろはる_照

信玄様のプレミアストーリーが一番ドキドキするかも♡

がろはる_喜

男女の駆け引きみたいなのがすごく丁寧に描かれてて、ここら辺はシナリオライターすごいな!!と素直に思います