がろはる_喜

このページではイケメン戦国幸村のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!

ぱいせん_喜

今回の「唇の微熱」第二話後半の恋の試練プレミアストーリーになるぞ!!

プレミアストーリー「唇の微熱」

信長の命を助けた姫として、大名たちとの会合に同席することになった主人公

そのために、綺麗な着物や化粧をして、城下に出たところを偶然、行商幸に見つかります

※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。


イケメン戦国_主人公

幸!

私は裾を持ち上げて、市の隅で商品を広げる幸に駆け寄った。

真田幸村

!?
おま…っ…何だよ、その格好

イケメン戦国_主人公

(え?)

自分の格好を見下ろして、はっとする。

イケメン戦国_主人公

(あっ、着替えるの忘れてた!しかも、髪とメイクもそのままだ)

大名と会合するための豪華な装いは、市で悪目立ちしている。
店を広げていた商人達が、わらわらとそばに集まってきた。

商人1「恋人かい?ずいぶん可愛い女子(おなご)じゃねえか」

真田幸村

は?

イケメン戦国_主人公

えっ

商人2「こんなにめかしこんで逢いに来るとは、けなげだねえ」

真田幸村

っ…な、ちげーよ!

イケメン戦国_主人公

そ、そうです、そういうんじゃないですから!!

商人3「照れんなよ、ご両人!いやあ、初々しいなぁ」

イケメン戦国_主人公

(本当に違うのに…っ)

冷やかしの声がやまず、耳の先まで熱くなる。

真田幸村

らち明かねえ…。行くぞ、●●●

イケメン戦国_主人公

あっ…

私の手首を掴み、幸がずんずん歩きだし…
私は、ひと気のない町はずれの河辺へと連れて来られた。
ぱっと私の手を離し、幸の眉間に皺が刻まれる。

真田幸村

お前が妙な格好してくるせいで、不名誉な誤解受けたじゃねーか

イケメン戦国_主人公

不名誉って…、それはこっちのセリフだよ

言い返すけれど、顔熱が冷めてくれない。

イケメン戦国_主人公

(こんなことで動揺するなんて、我ながら情けない…)

真田幸村

で……何かあんのかよ、今日

イケメン戦国_主人公

え?

真田幸村

祭りか。盆踊りでも踊んのか

イケメン戦国_主人公

違うよ…っ

真田幸村

ならなんで、妙に着飾ってんだよ

イケメン戦国_主人公

(『妙に』って…。お世辞を言うとか、思いつきもしないんだな、幸は)

イケメン戦国_主人公

たまたま、きちんとした格好する用があっただけ

真田幸村

あっそ

肩をすくめたあと、幸の視線が私の足元へ注がれる。

真田幸村

裾、汚れてんぞ

イケメン戦国_主人公

あっ、本当だ…

地面がところどころぬかるんでいて、裾に泥が跳ねていた。

イケメン戦国_主人公

(こんな綺麗な着物を汚しちゃうんなんて…っ)

後悔しながら急いで裾を持ち上げる。

イケメン戦国_主人公

もう二度とこんな格好では出歩かない。あんまり似合ってないしね…

真田幸村

そうは言ってねえだろ

イケメン戦国_主人公

え…

真田幸村

いーんじゃねえの、たまには。似合ってなくはねえし

イケメン戦国_主人公

ほんと…?

褒められるなんて予想外で、思わず幸の顔をじっと見つめる。

真田幸村

だけど、こーいうのつけてると団子も食えねえな

幸が手を伸ばし、紅を引いた私の唇に親指で触れる。

イケメン戦国_主人公

っ……!?

指の腹が、無造作に紅の上を滑った。

イケメン戦国_主人公

な、なに…?

真田幸村

似合ってるけど、落ち着かねえ

イケメン戦国_主人公

(え……)

幸に触れられた唇が熱を持ち、心臓がとくっと跳ねる。
幸はため息をついて、背を向けてしゃがみ、私を振り向いた。

真田幸村

ほら

イケメン戦国_主人公

え?

真田幸村

乗れ。着物、これ以上汚したくねーだろ

イケメン戦国_主人公

(おんぶしてくれるってこと…?)

イケメン戦国_主人公

でも……重いよ?

真田幸村

だろうな

イケメン戦国_主人公

っ…わかってるなら、おんぶするなんて言わないで

真田幸村

冗談だ、バカ。いいから乗れ
表通りまで我慢しろ

イケメン戦国_主人公

……ありがと

たくましい幸の肩に、おずおずと手をかける。
幸は軽々と私を背負って立ち上がり、歩き出す。

真田幸村

あー…その、なんだ。こんなとこに連れ出して悪かった

イケメン戦国_主人公

あ……ううん、気にしないで

真田幸村

それ以上汚さねえように、うろついてないで帰れ

イケメン戦国_主人公

うん、そうする

イケメン戦国_主人公

(結局、何しに来たんだっけ、私)

豊臣秀吉

信長様の国獲りで、多くの民が横暴な大名から救われるのを俺は見てきた
国とは民だと、あの方は真に理解している
戦で得た領地を平定し、民に自由な暮らしをさせ、栄えさせる…それが信長様のやり方だ

あのあと、自分の『当たり前』の感覚が信じられなくなりそうで、不安だったのに…
幸の顔を見た瞬間から、いつもの私に戻っていた。

イケメン戦国_主人公

(やなやつだけど、いいやつだな、幸は)

くるくるうずを巻く幸のつむじを、じっと見つめる。

イケメン戦国_主人公

(今度会う時は、普通の着物を着ていよう)
(この年になっておんぶされるなんて恥ずかしいし、申し訳ないし…)
(幸の隣を歩けないのは、ちょっと、つまらないし)

幸の背中に揺られながら、私はそんなことを考えていた。


がろはる_喜

つっけんどんな幸ですが、素直におんぶしてくれたり、感想を言ってくれるのは嬉しいですよね♪