がろはる_喜

このページではイケメン戦国政宗のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!

ぱいせん_喜

今回の「一線を越えて」第八話中盤の恋の試練プレミアストーリーになるぞ!!

プレミアストーリー「一線を越えて」

上杉軍との決戦を控えた前夜。突然、兵士たちからうめき声と叫び声が聞こえます。

どうやら飲み水に毒が仕込まれていたよう。さらに陣営に間者が現れます。

※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。


ぎゅっと閉じていた瞼を開ける。

イケメン戦国_主人公

(――え)

目の前に、血に濡れた肩が見えた。

伊達政宗

……っ

イケメン戦国_主人公

……政、宗……?

山賊

う……ぐ、っ……

政宗が投げつけたのか、刀が、黒装束の男の身体を貫いている。

山賊

貴様、伊達政宗か……っ!

イケメン戦国_主人公

(あっ!)

看護者達を襲っていたもう一人の男が、刀を抜き駆け込んでくる。

伊達政宗

……遅い

日本目の刀を抜き、鮮やかに敵の刃をさばくと、政宗はその男の首筋に切っ先を突きつけた。

山賊

……っ、俺たち二人を殺しても、まだ安堵はできんぞ……!

伊達政宗

残念だが、お前で最後だ
この辺りをうろちょろしてたお仲間は、今頃俺の部下が全員始末してる頃だ

政宗の無慈悲な刃が、その男も切り伏せる。
敵の頭巾をはぐと、ざんばら髪があらわになった。

伊達政宗

元坊主。……ってことは、顕如の横やりか。胸糞悪いことしやがって

そう吐き捨てると、政宗はふらつく足取りで森の奥へと分け入っていく。
そこでようやく、私は我にかえった。

イケメン戦国_主人公

っ、政宗……!どこに行くの……っ?
待って……

伊達政宗

……っ

ひと目のないところまで移動すると、突然、政宗がその場にくずおれた。

イケメン戦国_主人公

政宗……!

とっさに掛け寄って、政宗の身体を抱きとめる。
政宗の右肩から流れる血が、雨と混じり私の着物にじわりと滲んだ。

イケメン戦国_主人公

(血が……こんなに……)

伊達政宗

あー、くそ……銃弾が貫通してるのが幸いだな

政宗は木に身体をもたれさせ、苦しげに呼吸を繰り返している。

イケメン戦国_主人公

は、早く手当、しなきゃ……っ、待ってて!

救護用の天幕に駆け込んで、急いで消毒用の酒と綺麗な布を持って来る。

イケメン戦国_主人公

まずは、血、止めないと……!

伊達政宗

●●●……、●●●、落ち着け

混乱したまま、傷口を押さえる私を、政宗がいつもよりずっと穏やかな声でなだめてくる。

イケメン戦国_主人公

(……っ、どうして)

向けられた笑顔が苦しくて、視界がかすかに歪む。

伊達政宗

はっきり言っておくが
俺は伊達家当主として、家臣団の将として、それが必要とあれば
たとえお前だとしても――殺す

涙をこらえながら、見ているだけで痛々しい傷口に、止血の布を巻く。

イケメン戦国_主人公

どうして、かばったりしたの……、まだ、戦も終わってないのに
怪我してまで私をかばう必要なんて、なかったでしょ……?

伊達政宗

……そうだな。本来なら……そのつもりだったんだけどな
お前が死ぬと思ったら、身体が勝手に動いてた

イケメン戦国_主人公

(身体が、勝手に……って)


伊達政宗

もしお前が死んだら、俺がお前の死を誇ってやる


イケメン戦国_主人公

(……っ、嘘つき……)


イケメン戦国_主人公

(私が死んだ時の話、平然としてたじゃない……っ)

注がれる眼差しがやけにあたたかくて、堪えられず視界がぼやけていく。

イケメン戦国_主人公

ここでもし死んじゃったら、政宗の使命はどうなるの……
立派な国、つくるんじゃないの……っ?

伊達政宗

なに怒ってんだよ、命の恩人に。この程度で、俺が死ぬかよ

そう言って、政宗が優しく私の頬を撫でる。

伊達政宗

泣くな

その手が、言葉と裏腹に恐ろしく冷たくて、ますます涙があふれてきた。

イケメン戦国_主人公

……っごめん。ごめん、なさい……

頬に触れる手に自分の手を重ねて、ぎゅっと握りしめる。

イケメン戦国_主人公

(……私のせいだ)

イケメン戦国_主人公

何も、できなかった……

伊達政宗

初陣(ういじん)なんて、そんなもんだろ
鉄砲かついで戦おうとしただけ、上出来だ

イケメン戦国_主人公

(……違う。戦おうとなんてしてない)
(あの時、私は心の中で、殺したくないって願った)
(敵であっても、殺せないって……)

止血の布をぎゅっと縛って離れると、政宗の懐にあった何かが、
指先に引っかかって、ぱさりと落ちた。

イケメン戦国_主人公

(あ、これ……私が描いた、絵だ)

伊達政宗

……悪い、血で汚れたな

イケメン戦国_主人公

ううん、いい……いいの

政宗との思い出が詰まった絵が、赤い血で濡れていた。
その不似合いな光景が、私の考えの甘さを突きつけているように見えた。

イケメン戦国_主人公

(さっき私が敵を撃てていたら……政宗が私を守る必要もなかった)
(……こんなことには、ならなかったんだ)

伊達政宗

馬鹿、もう泣くな

政宗が、片手でそっと私の頭を引き寄せる。

伊達政宗

助けたお前に泣かれてちゃ、格好つかないだろうが

イケメン戦国_主人公

……、っ……

なだめるように囁かれたあと、目元に唇が寄せられる。
柔らかい感触が涙の跡をぬぐい、さらに胸の奥がぎゅっと軋んだ。

イケメン戦国_主人公

(……唇、冷たい)

その場で膝を立たせ、そっと政宗の頭を自分の胸に引き寄せる。
少しでも暖められるようにと、私は抱きすくめるように腕に力を込めた。

伊達政宗

泣くなって言ってんのに、お前は……

イケメン戦国_主人公

泣いて、ない……っ

呆れ笑いをこぼす政宗に、涙声をかえす。
冷えていく体温と、地面に広がる真っ赤な血に、
政宗を失う恐怖が膨らんで、ぎゅっと、抱き締める腕に力を込めた。

イケメン戦国_主人公

(死なないで)

胸が張り裂けそうなくらい、私の心が、そう叫んでいた。

伊達政宗

……っ、う……

ふいに政宗が、怪我した右腕を持ち上げて、私の身体を抱き返した。

イケメン戦国_主人公

だめだよ、動いたら…っ

伊達政宗

うるせ。じっとしてろ

私の首筋に顔をうずめて、政宗が静かにつぶやく。

伊達政宗

……お前の心臓の音、落ち着く

イケメン戦国_主人公

(っ……)

あたたかい吐息が肌に触れて、政宗が生きていることを、教えてくれる。

イケメン戦国_主人公

(政宗の、心臓の音も、ちゃんと聞こえる……)

しばらくそうして寄り添っていると、突然、政宗がしっかりとした口調で命じた。

伊達政宗

――●●●、この傷のこと、絶対に黙ってろよ

イケメン戦国_主人公

え……っ、どうして?

伊達政宗

夜の間は互いに一時休戦の状態だが、いつまた交戦状態になるかわからない
大将がぐらつくのが、一番士気が下がる

イケメン戦国_主人公

でも、さすがに、こんな怪我じゃ戦えないでしょ……?
戦場に出なかったら、秘密にしても気づかれるんじゃ……

伊達政宗

何言ってんだ。この程度の怪我で弱ってたら、伊達の名折れだ

イケメン戦国_主人公

(……このまま、戦場に出るってこと?)

光を失ってない政宗の眼に、焦りから背筋がぞくりと冷えた。

イケメン戦国_主人公

あ、危ないよ!この肩で刀が振るえるの!?

伊達政宗

右腕が使えないなら、左腕で戦うだけだ

イケメン戦国_主人公

そんなことしたら、本当に死――

伊達政宗

死なない

イケメン戦国_主人公

っ…!

強い語気で否定されて、はっと息を飲む。

伊達政宗

腕がちぎれようが、足を折れようが、戦わない理由にはならない
ここで退いたら、もっと大事なものまで失う

イケメン戦国_主人公

……っ

イケメン戦国_主人公

(肩は重症だし、血も足りないはずなのに……)

それでも、政宗の眼に宿る熱い炎は消えていなかった。
その眼差しの美しさに、一瞬、全ての感覚が奪われた。

イケメン戦国_主人公

……わかった。周りには、言わない

伊達政宗

素直で結構

イケメン戦国_主人公

……、ん

ぐ、と荒っぽく身体を引き寄せられて、口端に政宗の唇が触れた。

伊達政宗

……約束だからな

政宗はそう言って、しっかりとした足取りで立ち上がった。
それとほぼ同時に、森の向こうから大勢の馬の足音が聞こえてくる。

伊達政宗

あいつらの声だな。主人公、戻るぞ

イケメン戦国_主人公

っ、うん

政宗の横顔を見つめながら、私は心がある一線を越えたのを感じた。

イケメン戦国_主人公

(この人を守るためなら、今度こそ――)


イケメン戦国_主人公

(私は、引き金を引ける)


がろはる_尊

鉄砲を持つ主人公のスチルが見てみたい……