がろはる_喜

このページではイケメン戦国謙信のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!

ぱいせん_喜

今回の「見えない糸」第六話中盤の恋の試練プレミアストーリーになるぞ!!

プレミアストーリー「見えない糸」

謙信の歪んだ愛により、主人公は牢に閉じ込められてしまいます。

なにもすることが出来ない主人公はつまらない様子。謙信はなんとかして主人公を楽しませようとします。

※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。


上杉謙信

しばし待て。必ずお前を喜ばせてみせる

決然と牢の前をあとにした謙信様は、ほどなくして戻ってきた。

上杉謙信

待たせたな

イケメン戦国_主人公

いいえ、お帰りなさ…
え!?

顔をあげた瞬間、信じられない光景を目の当たりにする。

イケメン戦国_主人公

(ウサギがいっぱい…)

謙信様の後ろを追いかけるように、たくさんのウサギがついてきていた。

イケメン戦国_主人公

可愛い……! 謙信様が飼っていらっしゃるんですか?

上杉謙信

飼ってなどいない。こいつらが勝手に棲みついているだけだ

ウサギたちは立ち止まった謙信様の足元を囲み、すりすりと身体を押しつける。

イケメン戦国_主人公

(すごく懐かれてる……)
いいなあ…

上杉謙信

今、そちらへ送り込んでやる

イケメン戦国_主人公

わあ、触らせていただけるんですか?

上杉謙信

喜ばせてやると言っただろう
お前を牢から出すことはできないが、こやつらを牢に入れることはできるからな

謙信様は牢を開け、ウサギたちに手で合図を送る。

上杉謙信

さあ、入れ

号令をかけられたウサギたちはぴょんぴょんと牢に入り、
一番最後に謙信様が入ってきて、牢の戸を閉じた。

イケメン戦国_主人公

っ……謙信様も入られるんですか?

上杉謙信

不満か

イケメン戦国_主人公

不満なんかないです…っ
(むしろ、嬉しい)

久しぶりに柵を隔てず見る謙信様の姿に、胸がきゅっと締め付けられた。

上杉謙信

お前ら、道を空けろ

謙信様はウサギたちを踏まないよう気を配りながら、私のそばに歩み寄る。

上杉謙信

何を突っ立っている。座れ

イケメン戦国_主人公

あ、はい

謙信様と並んで腰かけると、たちまちその周りにウサギが押し寄せた。

イケメン戦国_主人公

(わわ……っ)

ウサギたちにぐいぐいと鼻先を押しつけられ、自然と謙信様との距離が縮まる。

イケメン戦国_主人公

(こんなに近くに謙信様が……)
(何だか、急に落ち着かなくなってきた)

上杉謙信

どうした、ウサギはお前の好みではなかったのか?
先ほどまでは目を輝かせていたと思ったのだが

イケメン戦国_主人公

いいえ……っ、すごく好きです。本当に可愛いですね
(そうだよ、こんなにたくさんのウサギに触れられる機会めったにないし)

勝手に浮つき始めた心を知らんぷりすることにした。

上杉謙信

ならば良し

謙信様は満足げな顔になって、ウサギを一羽抱き上げる。

上杉謙信

遠慮せず、触れてみろ

謙信様は抱いたウサギを私の膝の上に下ろした。

イケメン戦国_主人公

わ、ありがとうございます
(ふわふわだ……!)

真っ白なウサギをぎゅっと抱きしめたい衝動に駆られながら、怯えさせないようにそっと撫でる。

イケメン戦国_主人公

一体、何羽いるんですか?

上杉謙信

数えたことはない。もしかすると、まだいるかもしれん

イケメン戦国_主人公

そんなにたくさん……! 一羽ずつ名前はつけてないんですか?

上杉謙信

最初に俺についてきた三羽だけには名付けている
お前の膝の上にいるのが『梅』、残りの二匹は『松』と『竹』という名だ

名前を呼ばれた梅が飛び上がって、謙信様の膝に突進する。

イケメン戦国_主人公

(あ、行っちゃった)

さらに、群れの中から二羽のウサギが我先にと謙信様によじ登り始める。

イケメン戦国_主人公

そっちの子たちが、松と竹ですね

上杉謙信

ああ、そうだ

謙信様は私に答えてから、膝の上で丸くなった梅に視線を落とす。

上杉謙信

梅、何を勝手に持ち場を離れている。お前は●●●の膝の上に置いてやっただろう

イケメン戦国_主人公

いいんです。この子たちは、よほど謙信様のことが好きなんですね
(ウサギに囲まれる謙信様って……何だか微笑ましい)
(こういうの、ギャップ萌えっていうのかな?)

上杉謙信

勝手に懐いてついて回る、呆れた奴らだ

素っ気ない返事をしながらも、謙信様は指先で梅たちの耳をくすぐっている。

イケメン戦国_主人公

(優しい手つき……)
(謙信様も、実はちゃんとウサギたちを可愛がってるんだな)

意外な一面に、胸がきゅんと疼いた。
梅たちが羨ましいのか、他のウサギたちも謙信様の膝に乗ろうと夢中になっている。

上杉謙信

落ち着きのない連中だ。これでは●●●が満足に触れられないではないか

イケメン戦国_主人公

じゃあ、私も謙信様の膝の上にいる子たちを、一緒に撫でさせてもらっていいですか?

上杉謙信

ああ。好きにしろ

イケメン戦国_主人公

ありがとうございます

そっとウサギに手を伸ばし、絹のような毛並みを撫でる。

イケメン戦国_主人公

このさわり心地、癒やされる……

身を乗り出すようにして、その感触に夢中になる。
ふと気がつくと、すぐそばに謙信様の整った顔があった。

イケメン戦国_主人公

(っ…思ったより接近してたみたい。夢中になりすぎた…)

じっと見つめられ、肌が火照りだす。

イケメン戦国_主人公

どうしてそんなに私を見るんですか……?

上杉謙信

そんなこと、決まっているだろう

謙信様は大真面目な顔をして答える。

上杉謙信

お前が笑うのを待っているのだ
……ちなみに今は、惜しいところまでいっていた

イケメン戦国_主人公

っ…何ですか、それ…
(本気で仰ってるの……?)

上杉謙信

女子どもの好む小動物をあてがう戦術は間違っていないことが、これで証明されたな
さあ、●●●。俺に構わず、ウサギを愛でるが良い

イケメン戦国_主人公

(戦術……?)
(よくわからないけど……どうやら、ものすごく真剣なのは確かみたい)

軍神と畏れられる謙信様が私を笑わせるために本気になるなんて、信じられないような話だ。

イケメン戦国_主人公

(でも……何でだろう。それが、すごく嬉しい)

胸の奥がくすぐったくて、足元がふわふわする。

イケメン戦国_主人公

(変な感じ……)
ふふ……っ

上杉謙信

……!

思わず笑ってしまった私を見て、謙信様が目をみはる。
その顔にまた、どうしようもなく胸が弾んだ。

イケメン戦国_主人公

(謙信様の気持ちがわからなくなってずっと不安だったけど…)
(こんなに真剣に私のことを考えてくれてるっていうのは、わかった)

上杉謙信

ようやく笑ったな

イケメン戦国_主人公

……はい
でも、謙信様だって笑ってますよ


(越後に連れて来られてから……私も、謙信様のこんなに晴れやかな笑顔は見てなかった)
(私が笑っただけで、そんなに嬉しそうにしてくれるなんて)[/char]
上杉謙信

明日からは、毎日ウサギを連れてきてやる

イケメン戦国_主人公

それは楽しみです。だけど、時々触らせてもらうだけでもいいんです
私が今笑ったのは、ただウサギが可愛かったからじゃありません

上杉謙信

ではなぜだ。教えろ

イケメン戦国_主人公

それは……内緒です

上杉謙信

何?

イケメン戦国_主人公

(ちゃんと説明するのは、何となく照れくさい)
(それに……謙信様にだって、私のことでちょっとくらい悩んでほしいから)

上杉謙信

……引っ掛かるが、お前の機嫌が直ったのであれば今は良しとしてやる

腑に落ちない顔をする謙信様の身体に、ウサギたちが甘えるように鼻先を押しつける。

上杉謙信

何だ、俺は考え中だぞ

イケメン戦国_主人公

きっと、謙信様の手が止まっちゃったから『撫でてほしい』って催促してるんですよ

上杉謙信

仕方のない奴らだ

謙信様の手を頭に置かれた一羽のウサギが、うっとりとした顔になる。

イケメン戦国_主人公

(気持ちよさそう)
(……そういえば、ついこの前、私もあの手のひらで頭に触れられた)
(この牢の柵越しに、謙信様が手を伸ばして……)

にわかに記憶が呼び覚まされ、その時の熱まで肌に再現される。

上杉謙信

●●●……?

イケメン戦国_主人公

わっ……何でもありません

上杉謙信

笑っていたかと思うと、急にそわそわしだすーー落ち着きのない女だ

謙信様は空いていた片手を、無造作に私の頭に乗せ……

イケメン戦国_主人公

(ん……っ)

これ以上ないくらい、優しく髪を撫でられた。

上杉謙信

お前はどことなくウサギに似ているな
ーーこうして撫でると、少し震えているところも

イケメン戦国_主人公

っ…私は、ウサギみたいに可愛くないです…
(頭を撫でられただけで、こんな気持ちになるのはどうして……?)

またひとつ、もどかしい疑問を植えつけられる。
身をよじって謙信様の指先から逃れようとするけれどーー

上杉謙信

動くな

イケメン戦国_主人公

(あっ)

ただ一言、命じられただけで……私の身体は見えない糸に縛られる。

上杉謙信

俺が良いと言うまで、そのままでいろ

イケメン戦国_主人公

(……熱い)

抗えない熱に身体中を侵されて……私はただ、謙信様の指先に震えていた。


がろはる_照

ウサギを武器に主人公のご機嫌をとる謙信様ww

がろはる_喜

そんなヤンデレ謙信ですが、主導権はやっぱり握っています。