このページではイケメン戦国秀吉のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!
今回の「夜風と言い訳」は第六話中盤の恋の試練プレミアストーリーになるぞ!!
プレミアストーリー「夜風と言い訳」
戦が迫る中、安土城では家臣を集めた宴会が開かれました。
※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。
秀吉さんとのんびり休日を過ごした翌日の夜ー
安土城の広間で、家臣を集めた大宴会が開かれた。
お前も飲め、●●●
ありがとうございます。じゃあ、一口だけ・・・
●●●、酒なんかより俺の作った鴨の朴葉焼き(ほおばやき)を食え
わぁ、美味しそう・・・!ありがとう、いただきます!
(お酒も料理もおいしいな・・・)
光秀さんと政宗に挟まれ、さっきから食べたり飲んだり忙しい。
すると、すぐ目の前の席で三成君の明るい声が響いた。
家康様には私がお酌をさせていただきますね
無謀な戦はしないのが兵法の基本でしょ。俺は手酌でいいから
遠慮なさらないでください
ちょ、三成くん、こぼしてる・・・!
あれ・・・?
あれ、じゃない。百発百中でこぼすなんて、びっくりしたのはこっちだよ・・・
三人でこぼれたお酒を片付けた後、私は一度席を離れて広間を見渡した。
(ふぅ、大騒ぎだな。でも、楽しい・・・)
越後との戦を前にした宴には、大勢の家臣が集まっている。
(一通り挨拶はしたけど、秀吉さんとはまだ、話してないな)
広間を見渡すと、すぐに見つかった。
遠くで家臣たちに囲まれ、楽しそうに笑っている。
(今日も・・・やっぱり、いい笑顔)
●●●、何を呆けている。こっちへ来て酌をしろ
は、はい・・・!
上座から声がかかり、私は信長様のそばへ急いだ。
金平糖の夜以来だな
そうですね・・・。お注ぎします
貴様も飲め
ありがとうございます・・・
(大企業の重役接待って、こんな気分なんだろうな)
強張りながら杯を傾けると、お酒が良い香りを放ちながら喉を滑り落ちた。
(美味しい・・・)
じんわり胃が温まり、ほんの少し緊張が和らいだ。
では返杯だな。ただ飲むだけではつまらん。杯を変えるか
それじゃ別の杯を持ってきますね
いや、ここにあるもので良い
(ここにあるもの?)
にやりと笑い、信長様が私の顎を持ち上げる。
親指で唇をなぞられ、ぎょっとする。
(私の口で、ってこと・・・!?)
そ、そんなの困りま、
失礼いたします、信長様
・・・
(秀吉さん・・・?)
大股に歩み寄ってきた秀吉さんが、隣に膝をつく。
私を間に挟み、真剣な顔で信長様に頭を下げた。
おそれながら、お戯れが過ぎるかと
ほう、では、本気であれば良いのか?
それは・・・
●●●、しっかり杯として役に立て
(え、わっ)
唇にお酒を注がれ、どきりとする。
反射的に喉が動いて、そのまま飲み込んでしまった。
・・・
っ・・・ご、ごめんなさい、つい
でも、冗談でも本気でも、杯の代わりになんてなりません・・!
面白い女だな。それに良い飲みっぷりだ
良いだろう、杯になる役目は免じてやる。その代わり、しばし付き合え
とくとくとく、と私の杯が満たされる。
(よ、よかった・・・)
いただきます・・
安堵とともに、口当たりのいいお酒が私の身体をほっこり温めていく。
信長様、あまり●●●に飲ませすぎるのはいかがなものかと
お相手なら私が務めます
それも良いが、貴様は酔うと若干ややこしいからな・・・
そうなんですか・・・?
(ややこしいって、どういう意味だろう)
想像できないでいる私に、信長様が子どものように悪戯っぽく笑ってみせた。
こやつは若干酒に酔いやすい質(たち)でな。酔うと、己の本心をえんえん語りだす
っ・・・すみません、自覚はしているのですが
わぁ、そんな秀吉さん、見てみたいなぁ・・・!
こら、何言ってるんだ
(だって・・・)
心がふわふわして、思ったことが口から漏れる。
秀吉さんが思ってること、もっと知りたいから・・・
え・・・
秀吉さんのこと、もっと、全部、知りたいの
っ・・・
・・・ほう
酔ってるだろ、●●●。さては光秀あたりに相当飲まされたな
うん・・・。確かに少し酔ってるかも
かすかに頬が熱くて、心地よい酔いに包まれている。
(でも、お酒のせいだけじゃ、ない)
今言ったのは・・・いつも思ってることだよ
・・・もういい。わかったからそれ以上言うな
(なんで・・・?)
成程。面白いことになっているようだな、秀吉
・・・何のことやらわかりません。それより、●●●は連れていきますよ
来い、●●●。酔いをさましに行こうな
ええ・・・?そこまで酔っては・・・
だーめーだ、言うことを聞け
半ば強引に、秀吉さんに広間を連れ出され・・・
私達は、天守に付属する櫓(やぐら)へとやってきた。
(風、強いな・・・。気持ちいい)
ほら、水も持ってきたから飲め
うん・・・。ありがとう
水の入った革袋を、おとなしく受け取る。
心配かけてごめん。でも、本当にそんなに酔ってないよ。ほろ酔いくらいだから
ほろ酔いでも、あんなの駄目だ
(え・・・?)
あんなのって、何?
ああいう無防備な顔を人前でさらすな
どこぞの男にかっさらわれても文句言えないぞ
(何それ・・・、わけわからないよ)
かっさらわれたりしないよ。味方しかいない宴なのに・・・
-現に俺に連れ出されてるだろう
え・・・?ごめん、風で聞こえなかった
なんでもない。それより、水
あ・・・うん
革袋の水を、こくりと飲む。
水が冷たくて、体がぶるっと震えた。
悪い、寒かったか?これ着てろ
秀吉さんは羽織を脱ぐと、私の肩にふわりとかけた。
(あ・・・。秀吉さんの、匂いだ)
反射的に、胸がぎゅっと締め付けられて・・・
甘い香りとぬくもりが、抑え込んできた気持ちのフタを、瞬時にこじ開けた。
秀吉さんは、誰にでも・・・こんなに優しいの?
・・・いや
たった一言で、心臓が跳ね上がる。
(誰にでも、じゃ、ないなら・・・)
羽織を前でかき合わせ、一心に秀吉さんを見つめる。
なんで、私に優しくするの?
優しくするのに理由がいるのか?
(っ・・・そんなふうに尋ね返すのは、ずるいよ)
夜風が吹きつけ、秀吉さんの髪を乱す。
柔らかそうなあの髪に触れられる風が羨ましかった。
(もう駄目だ。この気持ちに、先なんてないと思ってたのに・・。)
(とっくに先に進んでた)
あと二か月でこの時代を去る私が、言葉にしても仕方ない。
それでも、想いが噴き出した。
(あなたが好き)
(言えないし、言わないけど、大好き)
口に出せずに、ただひたすら秀吉さんを見つめると・・・
・・・酔って、気が立ってたんだな、●●●は
戻ろう。部屋まで送ってくから休め
っ・・・待って
唇を噛んで、私は秀吉さんの指の先を、ぎゅっと握った。
・・・
あとちょっとだけ、一緒にいさせて
(もう、妹でも何でもいいから、許される限り、あなたのそばにいたい)
・・・・・・くそ
(えっ・・・)
次の瞬間、甘い香りが私の全身を包んでいた。
たくましい腕が背中に回り、寒さを忘れた。
なんで、抱き締めるの・・・?
・・・今夜は少し、冷えるからだ
(本当に、それだけ・・・?)
秀吉さんの瞳が、夜なのに眩しくて、狂おしいほど鼓動が騒いで、温かな腕の中で、しばらく息もできなかった。
酔ってるとはいえ、信長様の前で積極的すぎます主人公( ゚Д゚)
やっぱり酒が入ると兄妹のような関係でも男女関係になっちゃうんでしょうか…いやホントの兄弟はだめだからね!!