このページではイケメン戦国家康のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!
今回の「天邪鬼の告白」は第八話中盤の恋の試練のプレミアストーリーになるぞ!!
プレミアストーリー「天邪鬼の告白」
謙信信玄同盟軍と戦をすることになった家康。城で待機中の主人公は家康の傷が完治していないことを知り、慌てて三成とともに戦場に駆けつけます。
戦場に主人公が来たことを知り、家康は激しい剣幕で主人公を野営地の外に連れ出し……
※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。
家康、手、ちょっと、痛い…
っ……
野原の真ん中で足を止め、家康は掴んだ私の手首をぐいっと引き寄せた。
(あ……っ)
この程度で痛がるくらい、弱くて弱くてどうしようもないあんたが、なんで、ここに来たの
怒りと戸惑いに満ちた瞳が、私の目の前で揺れる。
(それは、たしかに私は、弱いけど……っ)
答える言葉を探していると、手首を掴む手が解かれて、その代わり……
家康がいたわるように優しく、私の指先をそっと握り直した。
ここは……あんたが居ていい場所じゃ、ない
っ……それは、わかってるよ
(でも、来ずにはいられなかった)
想いを込めて、家康の手を握り返す。
…………
わかってるんなら、さっさと帰って
触れ合っていた手が、すっと離された。
拒絶するように目を逸らされ、ひやりとした心地が広がる。
(私は勝手なことをしてるんだから、家康を怒らせて当然だ……。でも、)
(ちゃんと、確かめなきゃ。それまで帰れない)
ケガが……治ってなかったって、聞いた。傷が開いたって
え……?
回復したって言ってたのは嘘なんだね
…嘘ではない。だいたい治ったよ
ケガが開いたっていっても、かすった程度の傷だ
ちょっと出血が派手だったから、家臣が慌てて伝令を送ったんだろう
(ちょっとって……っ。出血してる時点で、ちょっとじゃないよ!)
傷口、見せて
……どうして
いいから、見せて…っ
……あんたに見せる筋合い、ない
(なんで……っ?本当は酷いケガなのを隠したいから?)
(それとも、ただ……嫌なだけ?)
不意に、見えない壁にへだてられているような感覚に襲われる。
近づいたと思っていた距離が急に開いて、そばにいるのに、家康が遠い。
話は、それで終わり?
っ……ううん
(ここで引きさがったら、何のために逢いに来たのかわからない)
心配になって、役に立ちたくて……どうしてもそばにいたくて、ここまで来た。
戦場の光景を見て家康の心がわからなくなって−−止めなきゃならないと、強く思った。
支城は守り切って、上杉の軍は追い払ったんだよね?
どうして、兵を引かずに敵地に進軍してるの…?
越後への、けん制だよ
安易に織田軍に戦を仕掛けたらどうなるか、わからせる
(わからせるって……)
野営地で見た兵達と同じで、家康の目も、殺気立ってぎらついて見える。
けん制だったら、もう十分でしょう…?これ以上戦う必要ないじゃない
まだ、足りない
(え……?)
敵は今、総崩れの状態だ。この機を逃さず、もう一歩深く攻め入る
領土を奪って、田畑は燃やして……戦闘意欲を叩き折る
(何、言ってるの……?)
つむがれる言葉のひとつひとつで、不穏に胸へと突き刺さる。
昼間見た、敗走する敵兵達の姿が、くっきりと脳裏に浮かび上がった。
もう戦には勝ってるのに、どうしてそこまで……っ?
反撃の余地が相手に残ってるのに、勝ったなんて言えない
できる限りの武功を立ててから、俺は安土に戻る
何のために……っ?
決まってるでしょ。この乱世で、のし上がるためにだよ
決意に満ちた声で家康は言い切った。
家康の澄んだ瞳は、怒りと野心に満ち、冷たく燃えている。
戦って、武功を立てて、力を手にして……強くなる
俺自身も、俺の国も、強くする。二度と、誰にも踏みにじられないように
(っ……)
俺は−−俺が、許せない
今川家が滅びて自由になった日、二度と誰にも屈しないって誓った。なのに、
まだ、こんなに、弱い
あっさり踏みにじられるような自分が、許せないんだ
(家康が、こんなにも力が欲しいって思っているのは、きっと……)
(苦しい過去を生きて来たからだ)
(人生の長さはそんなに変わらなくても、平和にのんびり生きてきた私とは全然違う。でも……!)
戦って、戦って、力を得て……その先、どうするの?
もっと力を得るために、また戦うだけだ
それじゃ、家康が……いつまでたっても、幸せになれないじゃない!
…………
(踏みにじられて何年も辛い想いをして、耐え抜いて…)
(その先にあるものが戦いだけだなんて、あんまりだ)
幸せって……何それ。そんなの俺にはどうでもいい
どうでもよくないよ…!家康が幸せじゃないと、私が、嫌なの
噴き出した想いが、とめどなく唇から滑り出た。
っ……あんたには関係ないだろ
関係あるよ!
なんで…っ?
好きだからだよ!
っ……
(戦場を見て怖いと思った。絶対に正しくないって思った)
(でも、私が家康を止めなきゃって思ったのは……良心なんて綺麗なものじゃない)
(ただ、家康に、戦って欲しくなかった。傷ついて欲しくないし、傷つけて欲しくない)
家康が、好きだから……苦しそうな顔、見たくないの
もっと、たくさん、笑ってて欲しいの
…………
(好きなんて言わないつもりだったのに……っ)
けれど、溢れた想いが止まらず、胸を熱くしていく。
(この時代で生きるために、戦は避けられないんだと思う。どうしようもないんだろうとも、思う)
(だけどそれでも、できるだけたくさん、あなたに……笑っていて欲しい)
●●●……
冷ややかだった家康の表情が、悲しげに歪む。
(あ……っ)
背中に腕が回って、きつく抱きすくめられた。
あんたはそんなこと言うために、ここまで来たの?
−−どこまで、バカなの
切なげに揺れる瞳から目を逸らせずに、唇がどちらからともなく重なる。
ん……っ
こじ開けられて、乱暴に舌先を絡め取られた。
家康を抱きしめ返して、息をかるのも忘れて、キスをする。
ん、……は…ぁっ
(家康……)
(好きだよ、大好き……)
唇が離れると、荒い吐息が混ざり合った。
私を腕に抱いたまま、家康が私をじっと見つめた。
俺は……あんたなんか、要らない
(え……)
胸が冷えたけれど、それはほんの一瞬だった。
狂おしいほど熱を帯びた眼差しが、真っすぐ私に降り注いでいる。
それだけで、家康の気持ちを知るのには、十分だった。
(こんな時まで家康は、天邪鬼なんだね……)
それでも……私は、家康が好きだよ
家康が必要だよ
…………
息を詰めたあと、家康はすっと、腕を解いた。
……さっさと、帰って
もう、俺の帰りなんて待たなくていい
安土に戻っても、●●●には……二度と、会わない
(家康……っ)
背を向けて、家康が振り返らずに歩いていく。
遠ざかる背中を見つめたまま、私はその場に立ちつくした。
●●●を残し、野原をひとり歩く家康は、騒ぐ胸を力任せに押さえつけた。
−−…好きだよ。あんたが想ってるより何倍も、あんたが、好きだ
だから……要らない
なにそれ!?好きすぎだから必要ない、なんて言われたら…もうヤバいじゃん♡
家康はキスがめっさ上手いんですが、これはどこで教わったのでしょう??