がろはる_喜

このページではイケメン革命シリウスのプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!

ぱいせん_喜

今回の「玉砕覚悟のキス」第20話後半のアバター試練プレミアストーリーになるぞ!!

プレミアストーリー「玉砕覚悟のキス」

ランスロットに連れ去られる主人公。それを追うシリウス。なんとか主人公を取り戻すことに成功します。

その後、シリウスはランスロットとの過去や自分が戦う理由を初めて主人公に話します。

※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。


イケメン革命_主人公

時間を巻き戻して、7年前のシリウスさんを、抱きしめられたらいいのに

シリウス

●●●……

頬を押し付けたシャツの襟元に、涙が沁みていく。

シリウス

あんた、よく泣くな

イケメン革命_主人公

だって私は、あなたのことが……

イケメン革命_主人公

(あなたがほんとに、好きだから)

シリウスさんの首を抱き寄せながら、想いが溢れかけた時、
長い指先が、私の顎をそっと持ち上げ…――

シリウス

目、腫れちまうぞ

もう片方の手で、目のふちをなぞった。

イケメン革命_主人公

(あったかい手……)

間近で見つめ合い、周囲の音が遠のいていく。
瞳の奥に、優しいだけじゃない熱のようなものがちらついている気がした。

イケメン革命_主人公

(どうして、黙ってるんですか)
(今、何を、考えてるんですか)

問いかけたいのに、鼓動がうるさくて言葉にならない。

イケメン革命_主人公

シリウス、さん……?

シリウス

……ああ

名前を呼んだ私に、シリウスさんは曖昧な相槌を返した。
温もりが離れ、瞳も手のひらも遠ざかった。

シリウス

帰るか。みんな、探してる頃だ

イケメン革命_主人公

……そう、ですね

気付けば、太陽が暗い森を次第に照らし始めている。
私たちは言葉少なに、見捨てられた廃墟をあとにした。

脚を痛めた馬をひきながら、どうにか午後にセントラル地区の端にたどり着き――
街で馬車を借り、一路、黒の兵舎を目指す。

シリウスさんと隣り合って座り、車輪が回る音に黙って聞き入る。

イケメン革命_主人公

(明るくなったら、なんだか何も話せなくなっちゃった……)

この腕でシリウスさんを抱き寄せたのが、夢だったみたいだ。
街に着く頃には暖かくなったので、ジャケットはシリウスさんに返してしまった。

イケメン革命_主人公

(近づけたと思ったのに、また遠くなったような気がする)

膝の上で丸めた両手に、視線を落としていると……

シリウス

疲れさせたな

窓の桟(さん)に肘を置いて頬杖をつき、シリウスさんが苦笑いする。

シリウス

オッサンの無駄話に付き合わせて悪かった、●●●

イケメン革命_主人公

そんなことないです……!

イケメン革命_主人公

シリウスさんのことを知れて、私は嬉しかったです
それに、シリウスさんはオッサンじゃないです

イケメン革命_主人公

シリウスさんみたいな人は『格好良い大人の男』って呼ぶんです

シリウス

変わってるな、あんた

イケメン革命_主人公

一般的な見解です

シリウス

じゃ、世の中どうかしてる

シリウスさんは窓の方を向き、おかしそうに笑い出した。

イケメン革命_主人公

(もう、本気で言ってるのに!)

もどかしさに駆られて、私はシリウスさんの頬を両手で挟み振り向かせた。

シリウス

!?

イケメン革命_主人公

シリウスさんは格好良いんです! たとえ本人でも、私の意見を否定はさせませんから

シリウス

……なんだ、やけに必死だな

イケメン革命_主人公

必死にもなりますよ。だって

好き、と言いかけて、慌てて唇を結ぶ。

イケメン革命_主人公

(っ、危ない、言っちゃうところだった。困らせるから隠しとくって決めたのに)
(想いが届かなくても好きでいるって……決めたのに)

シリウスさんは続きを促しはせず、黙ってされるがままになっている。

イケメン革命_主人公

ええっと……すみません、こんなことして

シリウス

謝るようなことでもねえだろ
あんたの気が済むなら、何でも、好きにしな

イケメン革命_主人公

(え……っ?)

イケメン革命_主人公

どういう、意味ですか

シリウス

疲れてるんだろ? あんたが落ち着くなら、俺の頬だろうが何だろうが貸し出すさ
昨日は俺があんたに胸を貸してもらった。借りは返す主義なんでな

イケメン革命_主人公

(ああ、そういうこと……。シリウスさんって義理堅いんだな。)
(今ならちょっとだけ……甘えても、いいのかな)

頬に添えていた手を、おずおずと、たくましい肩へ滑らせる。

シリウス

遠慮はいらねえ。どーんと来い

冗談めかして、シリウスさんが両手を広げてみせた。

イケメン革命_主人公

っ、じゃあ、せっかくなので……。いきます!

イケメン革命_主人公

(えい!)

思い切って、シリウスさんの片手を、両手で包みぎゅっと握る。

シリウス

……

シリウス

……ったく、どこまでも可愛いな、あんた

困ったように笑い、シリウスさんは空いた手を私の腰に回すと――

イケメン革命_主人公

(わ……!?)

私を身体ごと引き寄せ、膝に横向きに乗せてしまった。

イケメン革命_主人公

えっ、あの……! 私、重いですよ!? それに外から誰かが見たら……

シリウス

はいはい、いいからくっついとけ。昨日あんたが俺にしたことと似たようなもんだろ

シリウス

今だけだ

イケメン革命_主人公

(今だけ……)

たったひと言で、恥ずかしさや礼儀作法が頭の隅に追いやられて、
私は与えられる温もりに、両手で必死にすがりついた。

シリウス

ん、それでいい

シリウスさんの唇が、私の髪にかすかに触れている。
大好きな人の声が、じかに私の肌を伝って身体じゅうに響く。

シリウス

あんたがこんなに甘えたがりだったとは、知らなかった

イケメン革命_主人公

……甘えたがりじゃないです。相手が、シリウスさんだからです

シリウス

そうか。慕ってもらえて光栄だ

イケメン革命_主人公

(慕うなんて、可愛らしい感情じゃない)
(私の気持ちを知ったら、シリウスさんはこの手を、解いてしまうのかな)

切なくて、胸が痛み始めた。

イケメン革命_主人公

(想いが届かなくてもいい、そう思ってた。でも、やっぱり……)

――…あなたが、欲しい。
言えない言葉を呑み込み、シリウスさんをじっと見つめる。

シリウス

……どうした?

想いがはちきれそうで、考えるより先に言葉が溢れた。

イケメン革命_主人公

シリウスさん、少しだけ、目、つむってください

シリウス

……どうして

イケメン革命_主人公

どうしてもです……! さっき、何でも好きにしなって言ったじゃないですか

シリウス

無条件とは言ってない

イケメン革命_主人公

怖いことも痛いこともしないですから!

シリウス

別に、あんたにそんなことされるとは思ってねえが……

イケメン革命_主人公

お願いです。今だけ、ですから……!

シリウス

…………

シリウスさんはふと黙り、静かに目を閉ざした。

イケメン革命_主人公

(シリウスさん、無理やりこんなこと……ごめんなさい)
(あと少しの恋ならもう、終わりが今でもいい。だから……思い出をください)

かたく目をつむり、勢いのままに唇を近づけた。
けれど――

イケメン革命_主人公

(…………あれ?)

シリウス

……

私の唇が触れたのは、シリウスさんの口の端から少し離れた場所だった。

イケメン革命_主人公

(キス、失敗、しちゃった……)

シリウス

今のは……?

イケメン革命_主人公

あの、ええっと、今のは……っ
親愛の、アレです……!

焦りを押し隠し、苦し紛れに言い切る。

シリウス

なるほど……。そうくるか
なら、俺からもひとつだ

シリウス

え? っ……ひゃ!

当然のように額にキスされ、肩がビクッと震えてしまった。

イケメン革命_主人公

(えええっ……?)

イケメン革命_主人公

シリウスさん、今のは……っ?

シリウス

親愛のアレの、お返しのアレだ

イケメン革命_主人公

よ、予告してください!

シリウス

しただろ

イケメン革命_主人公

もっと、ちゃんとですっ

シリウス

わかった、次からは気をつける

笑いながら、シリウスさんは私の頭を自分の胸に抱き寄せた。

イケメン革命_主人公

(次が、あるの……?)

胸板に頬を埋めながら、安堵が胸に広がっていく。
叶わない想いなら、いっそあと先考えず、ぶつかって砕けようとしたけれど――
ほんの少しだけ、この恋の寿命が延びてしまった。


がろはる_喜

うはあああ、めっちゃドキドキする!!!