がろはる_喜

このページではイケメン革命エドガーのプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!

ぱいせん_喜

今回の「失楽園」第20話後半のアバター試練プレミアストーリーになるぞ!!

プレミアストーリー「失楽園」

赤と黒の軍の開戦が控える中、エドガーの金庫から秘密を知ることになる主人公。

エドガーを信じることのできなくなった主人公は黒の軍に逃げますが、エドガーの叔父であるクローディアスに誘拐されてしまいます。そこで出会ったエドガーとの一時。

※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。


イケメン革命_主人公

っ……う……ぁ……

傷の手当てが終わった途端、喉から、どうしようもなく嗚咽が漏れた。
ほんのわずかな安堵と、巨大な恐怖に、心が丸呑みにされていく。

エドガー

っ、●●●……

いつだって穏やかに微笑んでいた美しい顔が、苦しげに歪む。
次の瞬間、私はエドガーの腕の中にいた。

エドガー

こんなこと言う資格、俺には微塵もないってわかってます。でも……っ
涙を拭いても、いいですか……?

懇願するように、エドガーが私を見つめている。

イケメン革命_主人公

(いいか、悪いかなんて……っ)

イケメン革命_主人公

そんなの……私にも、わからないよ……!

もつれて絡まったまま感情が、一気に吹き出す。

イケメン革命_主人公

(だってあなたは私のことを騙して、私のことを助けた人だから)

エドガー

……それなら、せめて

イケメン革命_主人公

(あ……っ)

頭をそっと引き寄せられ、固い胸板に頬が埋まる。
純白の布地が私の涙を吸っていく。

イケメン革命_主人公

(心臓の音が、聞こえる)
(あったかい血が、流れてる音……)

イケメン革命_主人公

……あなたは、本当に嘘つきだね

エドガー

え……

イケメン革命_主人公

手も、胸も、どこもかしこも……やっぱり、あったかいじゃない

エドガー

…………

この人の冷たい手に触れた朝を、よく覚えている。

【回想】


エドガー

……貴女の手は、温かいですね

イケメン革命_主人公

エドガーだって同じでしょう。こうしてたらすぐに温まるよ

エドガー

貴女の温もりが残っている間だけですよ
俺の手は、いつだって冷たい


イケメン革命_主人公

ちっとも、冷たくなんかない

イケメン革命_主人公

あなたが何を企んでいようと、いくつ嘘をついていようと、何が本心だろうと、関係なしに……
あなたという人には、温かい血が流れてる

挑むように、エドガーを見つめる。
返ってきたのは、泣き出しそうな笑顔だった。

エドガー

たとえ、そうだとしても
俺が今までしてきたことを知れば貴女は……

エドガー

俺に涙を拭かせるどころか、視界に入ることさえ許しがたいと思うでしょう

イケメン革命_主人公

(え……?)

微笑みの中に、エドガーの生の感情が溢れ出している。
それは、痛ましいまでの愛情と哀切だ。

イケメン革命_主人公

(人は、一朝一夕でこんな哀しい目にはならない)
(いったい何が、エドガーをここまで追い込んだの……?)

ふと、ルカとの会話が頭をよぎった。

【回想】


ルカ

『ブライト家の一族は、人を愛することを禁じられているようなものなんです』……そう言ってた

ルカ

赤のジャックは代々、特殊な任務を課せられてるらしい。そのせいで……
当たり前に人を愛することは、叶わないんだって


イケメン革命_主人公

教えて、エドガー。”赤のジャック”が、何者なのか

すっと身を引き、エドガーが目を伏せる。

エドガー

赤のジャックとは……赤の軍の影そのもの

エドガー

謀略と暗殺を生業(なりわい)とする者の名前です

イケメン革命_主人公

(暗殺……!?)

エドガー

100年も前のことです。ブライト家の祖先はある大罪を犯しました

エドガー

赤のジャックだった彼は、赤のキングとクイーンに反逆を企てたのです
ですが革命はあえなく失敗。キングとクイーンは裁判で彼の罪を追求し、その首を刎ねました

エドガー

処罰は本人のみに留まらず、ブライト家の一族に及び……

エドガー

キングとクイーンの命令で、次代ジャックは彼らと密約を結びました
罪の償いとして、ブライト家は代々赤の軍の暗部を担う、と

イケメン革命_主人公

(100年も前から……)

エドガー

おわかりでしょう? 俺という人間は、生まれた時から罪人なんです

エドガー

赤のジャックは、血塗られた手で妻を抱き、子に同じ道を歩ませる……
もうほとんど、悪魔そのものですよね

イケメン革命_主人公

(だからエドガーは、『自分には人を愛することが許されない』って思ったの?)
(愛したいのに、愛せなかったの……?)

エドガーは笑っているけれど、心が悲鳴を上げているのが、はっきり聞こえる。

イケメン革命_主人公

(でも……)

イケメン革命_主人公

ランスロット様やヨナが、そんな酷いことをエドガーにさせるとは、私には思えないよ……

エドガー

仰る通りです。あのふたりに代替わりして以降、謀略はともかく、暗殺の命はなくなりました
赤のジャック暗躍の最盛期は、先代キング・クイーン・ジャックの時代です

イケメン革命_主人公

(みんなのお父さんの世代……?)

エドガー

俺が7歳の時、父が病死し、叔父が27歳で赤のジャックを継ぎました
叔父からジャックとして必要な教育を受け、13歳になる頃から実務を手伝うようになりました

イケメン革命_主人公

(実務って、つまり……)

意味を察して、血の気が引いた。

イケメン革命_主人公

13の子どもになんてことを……!

エドガー

理解して頂けないのは重々承知です。ですが叔父は、ジャックの使命を果たしたまでです

エドガーは小首を傾げ、困ったように微笑むばかりだ。

エドガー

俺はね、よかったんです別に。人間、親は選べませんし

エドガー

“謀略と暗殺”は、幼少期から教え込まれた、なんてことない”普通の仕事”ですし
嘘をつこうが騙そうが殺そうが、そんなのちっとも気にしなかった

エドガー

何も、感じなかった

エドガー

……貴女に出逢うまでは

イケメン革命_主人公

(私……?)

エドガー

……どうしてでしょうね。貴女には触れられないって、思ったんです
100年かけて血に染め上げられたこの手では、とても

危うい微笑みを浮かべ、エドガーは目を伏せた。
その視線の先にある、膝の上で握られた拳が、かすかに震えている。

イケメン革命_主人公

(この人が私にしたことは、簡単には許せない)
(何が嘘で何が真実だったのか、わからないこともまだ山積みだ)

イケメン革命_主人公

(でも)

イケメン革命_主人公

……手を貸して

エドガー

え……

返事を待たずにエドガーの両手を握り、引き寄せる。
びくっと強張ったその手のひらを、自分の両手で包み込んだ。

エドガー

っ、何をするんですか

イケメン革命_主人公

いいから!

エドガー

駄目です、離して下さい!

イケメン革命_主人公

嫌!

エドガー

俺だって嫌です、だって……!
貴女を……っ、汚してしまう

イケメン革命_主人公

(なんてこと考えるの)

堪らずに、手の中の指先を引き寄せて、キスをした。

エドガー

っ……駄目ですって、言ってるじゃないですか

エドガー

こんなことをされたら俺は、今まで必死に抑え込んできたのに……
貴女の全てを、汚したくなる

怯えたように揺れる翡翠色の目を、真っすぐに見つめ返す。

イケメン革命_主人公

私は、汚れたりしない。あなたを許せたわけじゃないけど……

イケメン革命_主人公

それでも今のあなたには、あなたを温める誰かが必要なの
だから……私が、温める

エドガー

…………
貴女は……ほんとに、困った人です

包み込んだ指先から、力が抜けていく。

イケメン革命_主人公

あなたが何も感じてなかったなんて、それこそ嘘だよ
だって、こんなに震えてる

エドガー

…………っ

イケメン革命_主人公

(謀略を教え込まれたエドガーが、誰より手酷く騙した相手は……エドガー自身だ)
(行き場のない愛を誤魔化して、何も感じないと嘘をついて、ずっとずっと自分を騙し続けてきたんだ)

生まれつき楽園を追われた優しい悪魔は、
これほどの重い罰を下されるには、あまりに美しい手をしていた。

言葉もないまま私は、エドガーの手のひらを胸に抱き続けた。


がろはる_悲

生まれから汚れている、なんて辛すぎる。。。エドガーに幸せになってほしいです。。。