がろはる_喜

このページではイケメン戦国信玄のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!

ぱいせん_喜

今回の「歪な月、歪な関係」第六話中盤の恋の試練プレミアストーリーになるぞ!!

プレミアストーリー「歪な月、歪な関係」

織田軍との合戦の最中、逃げ出そうとした主人公。それが失敗し、敵軍に襲われそうなところを信玄に助けられます

戦が終わった夜、信玄と話をする約束をする主人公

※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。


夜の帳が下りた頃……信玄様が私の部屋を訪れた。

武田信玄

こんばんは、姫君

イケメン戦国_主人公

こんばんは。……どうぞ、お入りください

少し緊張しながら、声をかける。

武田信玄

ああ。月と君を、心ゆくまで愛でさせてもらおうか

信玄様は笑みを浮かべ、畳に腰を下ろした。

イケメン戦国_主人公

(さっそく、ぐいぐい来るな……)

イケメン戦国_主人公

あ、待って。その前に、怪我の具合を、見せてください

武田信玄

怪我?

イケメン戦国_主人公

簡単な塗り薬を作ったから、使わせてください

武田信玄

……わざわざ、俺のために用意したのか?

信玄様は意外そうに目を瞬かせた。

イケメン戦国_主人公

はい。このくらいのことはさせてください

武田信玄

…わかった。じゃあ、お願いするとしよう

私がそばに膝をつくと、信玄様は着物の袖をまくり、肩を見せる。

イケメン戦国_主人公

(男らしい腕だな…)

自分の身体とは明らかに違うたくましさに、思わずドキリとする。

イケメン戦国_主人公

(戦場で手当てした時は、夢中だったから、あまり意識しなかったけど……)

努めて気にしないようにしながら、傷口に巻かれている布を外す。

イケメン戦国_主人公

(化膿はしていないみたい。でも……)

まだ痛々しく残る傷痕を見て、きゅっと唇を噛んだ。

イケメン戦国_主人公

痛かった、ですよね

武田信玄

どうってことない。ただのかすり傷だ
君を失う方が、ずっと心が痛む

イケメン戦国_主人公

また、そういうことを……

イケメン戦国_主人公

(私を助けたせいで怪我したのに、一言も責めないんだよね)

いつも通りの軽口を叩く信玄様に切なくなりながら、
傷口を濡らした手拭いでそっと拭き、薬を塗った。

イケメン戦国_主人公

はい、終わりました

武田信玄

ありがとう。それにしても……
この部屋で、君が俺に近付いて触れてくれるなんて、感無量だな

武田信玄

最初に月見をした時は、駆け引きを使って、君を俺の側へ呼び寄せたのに

イケメン戦国_主人公

あ……

武田信玄

君が自分の足で、俺の領土に入って座ってくれたら、どんな質問でもひとつだけ答えよう


武田信玄

…おいで。大人の恋の駆け引きを、君に教えよう

忘れられない夜の記憶が鮮やかに甦り、一瞬にして肌が火照る。

武田信玄

あの時と変わらず、俺の領土は畳一畳か?

イケメン戦国_主人公

……っ

イケメン戦国_主人公

(なんて、答えたらいいの……?)

武田信玄

そんなに困った顔をしなくてもいい。今夜も俺の領土はここから始めよう

戸惑う私に笑いかけ、信玄様は立ち上がって障子を開けた。

武田信玄

あいにくと、今宵の月は、満月じゃないが

イケメン戦国_主人公

(本当だ……)

暗い空には、欠けた形の月が冴え冴えと浮かんでいた。

イケメン戦国_主人公

……でも、綺麗です

その不完全な月が今の自分の心には相応しい気がして、不思議と心に染みた。

武田信玄

そうだな。――綺麗だ、とても

まっすぐに私を見つめた信玄様が、甘く囁く。

イケメン戦国_主人公

(っ…月のことを、言ってるんだよね)

武田信玄

歪(いびつ)な月を愛でるのも、君となら一興だ
灯りを消してくれるか、姫君

イケメン戦国_主人公

っ…はい…

イケメン戦国_主人公

(あの夜と、同じだ…)

誘うような信玄様の口調に胸を騒がせながら、私は行燈を消す。
訪れた暗闇の中で、淡い月の光が部屋に満ちる。

イケメン戦国_主人公

……今夜も、あの時の駆け引きは、有効ですか?

武田信玄

んー?

イケメン戦国_主人公

信玄様の座ってる畳一畳の中に私が入ったら、なんでも答えてくれるって……

少し離れたところに座った信玄様が月を見上げながら、口を開いた。

武田信玄

好奇心がすぎると、火傷するぞ、姫君

イケメン戦国_主人公

好奇心なんかじゃ、ないです。あなたが、全然教えてくれないから……

イケメン戦国_主人公

(これしか、方法が思いつかないだけ)

武田信玄

俺が思うに、男女の機敏ってやつは戦と同じだ

イケメン戦国_主人公

え……?

信玄様の瞳の色が深まり、私の視線を絡め取った。

武田信玄

情報を集め、駆け引きを行い、相手の心の中に領土を広げていき……最後には征服する
君は俺の領土に入り込んで、情報を手に入れたあとは、どうする気だ?

イケメン戦国_主人公

どうするって……

イケメン戦国_主人公

(目が、逸らせない)

武田信玄

君に征服されるなら俺は本望だが――君には、俺に征服される覚悟があるのか

イケメン戦国_主人公

っ……私は、そんなつもりじゃ……

イケメン戦国_主人公

(前よりもずっと信玄様のことが知りたくて……だからこそ怖い)
(このまま近付けば、本当に心の領土を奪われてしまいそうで)
(でも……)

イケメン戦国_主人公

春日山城にさらわれて最初の頃は、信玄様のことを、ただ警戒してました

武田信玄

今は違うのか?

イケメン戦国_主人公

今だって信玄様は謎が多いけど、単純に敵だなんて思えなくなりました
だから、征服するためじゃなく、信じるために……あなたの情報をください

意を決して放った言葉は、情けなくも震えていた。

武田信玄

……
悪い子だ。そんな目で男を見るのは…良くない
手加減できなくなるだろう

イケメン戦国_主人公

(……あっ)

身じろぎもできない私に、信玄様は距離を詰め――いともたやすく領土を侵略する。

イケメン戦国_主人公

信玄、様……なんで……

武田信玄

悪いな。俺は君よりも少し大人で、嘘つきなんだ

信玄様は私の手首を掴み、笑った。

イケメン戦国_主人公

や……

手首に唇を押し当てられ、甘い痺れが走る。

イケメン戦国_主人公

(熱、い……)

皮膚の薄い部分をなぞるように唇は静かに滑り、艶めいた余韻を残して離れた。

武田信玄

そんな顔をしてたら、征服してくれって言ってるようなものだ

イケメン戦国_主人公

っ…違います…

武田信玄

違わない。嘘だと思うなら、俺の目を見てみるんだな
君の顔が、映ってるだろ

イケメン戦国_主人公

(言うこと聞いちゃだめ、なのに)

抗えない引力に吸い寄せられるように、強い光を宿した目を見つめると、
そこに映る私はひどく頼りない顔をしていた。

武田信玄

……やれやれ、君を笑わせるって宣言したのに、ほど遠そうだな

信玄様はゆっくりと私から身体を離す。

武田信玄

これ以上、ここにいると理性が持ちそうにない。そろそろお暇(いとま)しよう
おやすみ、俺の天女

イケメン戦国_主人公

(……っ)

髪を撫でた信玄様の手が離れ、去っていくのを、私は呆然として見つめていた。


がろはる_照

これは信長様の焦らしプレイにちょっと似てる。だけどこっちの方が大人♡