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イケメン戦国 | 徳川家康 プレミアストーリー①「不機嫌な彼」

このページではイケメン戦国家康のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!

今回の「不機嫌な彼」第二話後半の恋の試練のプレミアストーリーになるぞ!!

プレミアストーリー「不機嫌な彼」

織田軍に保護され、信長の命令により、家康の御殿に住むことになった主人公。そっけない態度の家康と少しでも仲良くなるために、弓術の稽古をつけてもらうことになるのでした…


それじゃ、よろしくお願いします!

御殿の新手の一角で、私は家康さんにお辞儀した。

…………よろしく

(うーん、あからさまにやる気なさそう)

家康さんに弓術の稽古をつけてもらうみとが決まったのは、昨日のことだ。

弓術。それなら、稽古をつける役目を引き受けます
どう?あんたがしごかれたいって言うなら、引き受けてあげるけど

……やります!教えてください、家康さん

え……

(私が断ること前提で申し出たんだろうけど……せっかくの機会を見逃せない)

着物の袖をタスキ掛けにしながら、気合を入れる。

(家康さんと打ち解けるチャンスだし、頑張ろう)

まずは道具の準備ですよね

秀吉さんが用意して届けてくれた弓を、革製の弓袋から引っ張り出す。

うわっ、弓って案外重いんですね。しかも大きい……!

(これ、片手で持つのっ?やっぱり筋トレしとけばよかった)

ふらつきながらも弓を持ち、次に矢に手を伸ばした時…

待って

(え……?)

家康さんの腕が伸びてきて、ふれかけた矢を奪った。

あんた、本気で稽古するつもり?

え?そうですけど……

何が目的か、さっぱりわからないんだけど
手伝いって名目でやたら俺に絡んできたかと思えば、稽古したいとか言いだすし……


俺を追いかけてどうしたいの、あんた

(それは……)

家康さんは、迷惑かもしれませんけど…
同じ御殿でしばらく暮らすなら、ちょっとでも打ち解けられたらな、と思って

言ったはずだよ。あんたと馴れ合うつもりはないって
見張られて軟禁されてる身だって、いい加減に自覚したら

それでも……ちょっとだけでも、歩み寄れたら嬉しいです
しばらく同じ場所で暮らすなら、その方がお互いに居心地良いと思います

……

(それに、家康さんがどんな人か、もっと知りたい気もするし……)
(って、これを言ったらますます迷惑がられるかな)

言葉を続けるか迷っていると…

……俺には到底、理解できない

ふいに、私を見つめる家康さんの瞳が伏せられた。
長いまつ毛が影を落として、揺れている。

(家康さん……?)

もし、俺があんたなら息を殺してじっとしてる。で……
馴れ合ったりせず、いつか自由になった時、相手に復讐する

(復讐……っ?)

物騒なこと言わないで下さい

俺は当たり前のこと言ってるだけだ

(っ……家康さんの当たり前と私の当たり前、全然違うな)

私は自分で逃げないことにしたんです。復讐する理由、ありません
それどころか、感謝してます。家康さんは命の恩人ですから

…………
底なしに能天気だね、あんた

そこは、前向きって言って欲しいです……

小声ながらも、どうにか言い返す。

(家康さんの毒舌に、ちょっと耐性ついてきたかも)

それより、稽古を始めませんか?矢ってどう構えるんですか?

……始めは型(かた)から。初心者のくせにいきなり矢をつがえようなんて、甘すぎ

(あ……)

矢をしまうと、家康さんは私の後ろに回り込んだ。

左手で弓を持って

(教える気になってくれたんだ)

ふつふつと嬉しさが湧いて、笑みがこぼれる。

はい!こうですか?

違う。そこじゃなくてこう

(わっ……)

背中から家康さんの腕がのびてきて、私の手に添えられる。

ここ。しっかり握って

は、はい……

(ちょっと、近い……っ)

顎がかすかに私の額に触れていて、鼓動がとくとく騒ぎだす。

じゃ、右手で矢を引く動作を教える。弦(つる)に手、添えて

っ…こう、ですか?

全然、違う、こう

(あ……)

家康さんが私の手をとり、張り詰めた弦に触れさせる。

次、足に力入れて

淡々とした声で、家康さんが足の角度や姿勢を教えてくれるけれど…

(っ……)

吐息に耳をくすぐられ、びくっと肩が震えてしまう。

(力、入らない……っ)

−−あんたは生まれたての小鹿か何か?なんで震えてるの

っ……それは、家康さんが……

俺が何

顔、近くて……慣れないだけです

…………
妙な言い草、やめてくれる。あんたが稽古つけてって言ったからでしょ

っ…わかってます。ちょっと待って下さい、きっとすぐに慣れるので

−−なんか、それはそれで心外なんだけど

(え?)

どういう意味ですか?

……別に。何でもない
それより、よそ見しながら型を覚えられるような余裕、あんたにあるの?

っ……ないです

(これは稽古なんだから、ちゃんと集中しよう)

俺の気が変わらないうちに、さっさと構えなよ

はい!

改めて弓を握り直すと、家康さんがどこかぎこちなく、私の手に手を重ねた。

(あれは……?私が変に意識してるから、気遣ってくれてる、のかな)

横目でちらりと、家康さんをうかがう。

(顔を見てもわからないな。でも……)
(なんだかちょっと、表情が柔らかくなった気がする)

そんな小さなことが、自分でも意外なくらい嬉しくて…
稽古に戻りながら、私は弓を持つ手にぎゅっと力を込めた。

まだまだ、家康との仲は縮まっていませんが、それでも主人公のことを気にかけてくれている姿にキュンときますね♡

教えてくれる男子の顔が急に近くなったりなんて…ドキマギがとまらない!!