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イケメン戦国 | 武田信玄プレミアストーリー③「隠された半月、半分の心」

このページではイケメン戦国信玄のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!

今回の「隠された半月、半分の心」第八話中盤の恋の試練プレミアストーリーになるぞ!!

プレミアストーリー「隠された半月、半分の心」

信玄や春日山の人との会話を重ねる度に信玄に惹かれていく主人公

顕如との会談から帰ってきた信玄は主人公の元へ向かいます

※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。


待たせたな、姫君

信玄様!

(やっと、いらっしゃった)

どうぞ、入ってください

返事をすると、静かに襖が開き…

ただいま

信玄様が、するりと部屋の中に足を踏み入れた。

おかえりなさい。遅かったですね

信玄様は私を見て、にやりと笑う。

いいね、君にお帰りなさいって言われるのは、悪くない
新妻を迎えた気分だ

新妻……っ?

甘い響きに、どくっと鼓動が跳ねた。

(たしかに、人質として滞在してるのに、お帰りなさいって変だった…)

う……信玄様が、ただいまなんて言うから釣られたんです

我ながら、苦し紛れの言い訳をする。

そうだな。君のそばがあんまり心地いいから、自然とそう言ってしまった

(信玄様……?なんだか、いつもと雰囲気が違うような……)

いつもと同じで顔を見るなり口説いてくるくせに、
どことなく物憂げな表情が気になった。

もしかして、疲れていらっしゃるんですか?

そう気遣われると、ますます新妻に見えてくる

(もう……っ)

茶化さないでください……っ

茶化してなんてない。君みたいな子が奥さんだったら、毎日が愉しいだろうな

はぐらかされてるのがわかって、心の中にもやもやが広がった。

(どうしたら、この人の本音にもっと触れられるんだろう)
(何かあったなら、言ってほしいのに)

戸惑う私をよそに、信玄様は畳に腰を下ろした。

さてと……。灯りを消してくれないか、姫君

以前の月見と同じ言葉を言われ、私は迷いながら頷く。

っ……わかりました

(とりあえず、月を見ながら信玄様と話をしてみよう)

行燈の灯りを落とすと、部屋は暗闇に包まれた。

(半月だと、余計に暗い……)

鼓動が速まっていくのを感じながら、朧げに見える信玄様の姿を見つめる。

(なんだか……今日は、信玄様が遠い気がする)

闇の中に溶けこんだ大きな身体を見ていると、
どうしてか不吉な予感に胸がざわめく。

(信玄様が……儚く見える)
(儚いだなんて、普段の信玄様だったら、絶対に似合わないような言葉だけど……)

どうして、そんなに不安そうな顔をしてる?君には似つかわしくない表情だ

っ……私じゃ、ありません。いつもと違う顔をしてるのは、あなたの方です

君には、そう見えてしまうのか

信玄様の瞳が静かな光をたたえて私に向けられている。
それが落ち着かなくて、そわそわと半月に視線を逸らせた。

月、見ないんですか?

ああ。もう、見ない

(え……)

きっぱりと即答する信玄様に、私は目をみはる。

どうしてですか?お月見がしたいって言ってましたよね

月見は、君に逢うための口実だ
君だって、薄々はわかってただろ

……っ……そんなこと……

反論しようとして、言葉が出て来なくなった。

(わかってた……のかもしれない)
(一番最初は強引に始まった月見も、二回目は合意の上だった)
(そして三回目の今は……私は信玄様に逢うのを、はっきりと楽しみにしてた)
(月見っていう口実で、自分を誤魔化して……夜の部屋に信玄様を招き入れた)

もう、口実は使わない。限りある時が、惜しいからな

何、言って……

信玄様は気だるげに立ち上がり、障子を閉めた。
頼りない半月は障子の向こうに隠され、視線の逃げ場を失った私は信玄様を見上げる。

(危ない、気がする。このままじゃ……)

どうする?姫君

月影にぼんやりと白くなった障子を背に、信玄様が笑う。
囁いた声にまで危うい色香が滲み、そのせいで身じろぎが取れなくなった。

(今すぐに逃げたいのに……どうして)
(頭の中身を、整理する時間がほしい)

っ……待ってください……

却下だ

(そんな……っ)

っ……お願いします、十秒で、いいですから……

回らない思考で必死に訴えると、信玄様が怪訝(けげん)な顔をした。

十秒?

(あ…この時代には秒って単位がないんだった)

ええっと……すごく短い時の区切りのことです
私の故郷では、そういう単位があって……

(五百年後から来たってことは、バレないようにしないと……)

しどろもどろに説明する私を、信玄様が面白そうに見つめる。

すごく短いっていうのは、いったい、どのくらいなんだ?

一秒が、このくらいです

小さく両手を打つと、ぱん、という乾いた音が闇に吸い込まれる。

へえ…本当に短い区切りだ
初めて聞いた概念だ。君には……謎があるみたいだな

心の奥まで見透かされてしまいそうなほど強い視線が、私を貫いた。

そうでしょうか……っ?

(疑われてる……?)

信玄様はゆっくりと私に近付いて、目の前で立ち止まる。

君をさらう前、散々、身元を調べたが……
君が安土城に連れて来られる前のことは、何ひとつ出て来なかった
まるで、君の存在自体がこの世になかったかのように

それは……っ

口ごもる私を、信玄様は宥めるように声をかけた。

言えないのなら、それでもいい。俺も君にすべてのことは言わない
お互い秘めごとが多い方が、男女の仲は盛り上がる
君のことは、本物の天女とでも思っていることにしよう

(隠し事がある時点で、私に信玄様を追及する権利はない……ってこと?)

ひどく優しい口調が、かえって切なさを加速させた。

秒っていう言葉、気に入ったよ

え?

瞬きをするような、短い単位っていうのがいい
それだけたくさん時があるような気がして、贅沢な気分になれる

信玄様は私の前に膝をつき、そっと頬に手を伸ばした。

なあ、姫君……俺が君といられるのは、あと何秒なんだろうな

っ……信玄様…?

(どういう、意味――)

尋ねようとした瞬間、たくましい腕が私の身体に伸ばされ……

(あっ)

視界が反転し、押し倒されたのだと気付いて頭が真っ白になった。

この続きをするかしないかは君次第だ
願い通り……十秒待とうか。それで答えが出ないなら、もう待たない


君の…すべてを奪う

(っ……んっ……)

抗う間もなく、首筋に唇が落とされる。

一、二、三……

吐息混じりの囁きが、濡れた唇とともに薄い皮膚を滑った。

(だめ……)

っ…信玄、様…ぁ……っ

(こんなふうにされたら、きっと認めてしまう)

熱い感情の塊がお腹からせり上がり、警鐘めいた予感が走るけれど――
全身の力が抜け、どうしようもないくらいに思い知らされた。

(私は……この人のことが、好きなんだ)
(もう取り返しがつかないくらい、とっくに好きになってたんだ)

は、ぁ……っ

(信玄様……)

触れられたいと、溶けあいたいと、苦しいほどに心も身体も叫んでいる。
けれど、最後に残った理性の欠片が、哀しく胸に刺さった。

……七、八、九、

っ、だめ、です……

……っ

激しい熱を孕んだ瞳が戸惑うように揺れるけれど……

……今夜も、フラれたなー

信玄様はそっと、私から離れて笑う。

(あ……)

おやすみ、俺の天女

お決まりのような甘い戯言も、どこか寂しげに響き……

(行かないで、なんて言えるわけない)

去っていく信玄様を見送る私の身体は、持て余すほどの熱に疼いていた。


信玄様のプレミアストーリーが一番ドキドキするかも♡

男女の駆け引きみたいなのがすごく丁寧に描かれてて、ここら辺はシナリオライターすごいな!!と素直に思います