がろはる_喜

このページではイケメン戦国幸村のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!

ぱいせん_喜

今回の「消せない残り火」第八話中盤の恋の試練プレミアストーリーになるぞ!!

プレミアストーリー「消せない残り火」

幸は織田と敵対する武将、真田幸村だということが判明。

離れ離れになる二人に、主人公は自分の想いを伝えるために佐助がセッティングしてくれた待ち合わせ場所に急ぎます

※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。


佐助くんに連れて来られた木の下で、私はひとり幸村を待った。

イケメン戦国_主人公

(幸村に、好きって言おう)
(どんな形になっても、どれだけ先になってもいいから…)
(『またな』って言って、逢う約束、して欲しい)

草むらにうずくまり、ひざを抱えて身を縮めていると…

真田幸村

――…●●●

イケメン戦国_主人公

(幸村……っ)

片手を上げて、幸村がそばへと歩み寄ってくる。

真田幸村

よー

イケメン戦国_主人公

『よー』って…

城下で偶然会った時のような気楽さに、張り詰めていた気持ちが解けた。

真田幸村

おい、デコに痕ついてる

イケメン戦国_主人公

えっ?あ…

イケメン戦国_主人公

(さっき、ひざにおでこくっつけてたから…)

額を手のひらで隠す私の隣に、幸村がどさっと腰を下ろした。

真田幸村

お前、佐助とも知り合いだったのかよ。びっくりさせんなよ

イケメン戦国_主人公

え、あ…ごめん

真田幸村

謝る必要ねーけどな。逢えると思ってなかったから、よかった

あぐらをかいえて頬杖をつき、幸村は私の顔を覗きこんだ。
休戦申し入れの時の別れ際と同じ、優しい笑顔だった。

イケメン戦国_主人公

(わけが、わからないよ…)

イケメン戦国_主人公

なんでそんなに普通なの…っ?

喉が詰まって声が少し荒くなる。

真田幸村

しょーがねえだろ
俺はこーいう時、上手いこと言えねえ
そーいや……祭りの時の約束、守れなくて悪かった

イケメン戦国_主人公

っ……ううん

真田幸村

文、気付いたか?

イケメン戦国_主人公

うん…。あ、着物の袖…!破けたままだね…

懐に入れておいた紅い布切れを取り出すと…

真田幸村

あれな、忘れろ

イケメン戦国_主人公

(え……?)

真田幸村

俺の文は安土に戻ったら燃やせ。信長に見つかったらまずいだろ

イケメン戦国_主人公

な……に、言ってるの!?
出来る訳ないじゃない、そんなこと!

真田幸村

…………

イケメン戦国_主人公

幸村はお祭りの夜、私に言いたいことがあるって言った…っ
私、まだ、聞いてない…!

真田幸村

あー……悪い、何て言おうとしたか、もう忘れた

イケメン戦国_主人公

(そんな……)

真田幸村

ま、燃やせねーなら文は適当にしまっとけ

かすかに笑い、幸村が私の頭をくしゃっと撫でた。

イケメン戦国_主人公

(どうしてそんなに優しくするの…?)

尋ねようとして、答えを聞くのが怖くなる。

イケメン戦国_主人公

っ……袖、直すよ

真田幸村

は?

イケメン戦国_主人公

腕、出して、じっとしてて

真田幸村

…おー

持ち歩いているソーイングセットで、幸村の袖をちくちくと縫う。

イケメン戦国_主人公

(何やってるんだろう、こんなことしてる場合じゃないのに…)
(話さなきゃ、ちゃんと。今、言わないと…っ)

焦りながらも縫い終わると、幸村がまた笑顔を浮かべた。

真田幸村

へえ、大したもんだなーお前

イケメン戦国_主人公

別に…そんなこと、ない

真田幸村

――…大事にする。ありがとな

イケメン戦国_主人公

(っ……)

間近で見つめ合い、息が詰まる。
もう、幸村が優しい理由に気付かないフリをできなくなった。

イケメン戦国_主人公

(幸村は私と、二度と逢わないつもりなんだ)
(最後だから……私の我がまま聞いて、ここに来たんだ)

イケメン戦国_主人公

ありがとうなんて、言わないで…!

私は力の入らない腕で、幸村の胸を叩いた。

真田幸村

……

イケメン戦国_主人公

私は…っ優しくして欲しくて幸村に逢いに来たんじゃないよ

真田幸村

……っ

イケメン戦国_主人公

ただ、幸村に逢いたくて、だから…っ
こんなふうに優しくしないで。最後なんて、やだ…

真田幸村

…………
俺だって……最後になんてしたくねえよ

うめくような低い呟きは、よく聞きとれない。

イケメン戦国_主人公

今、何て…

真田幸村

……何でもねえ

苦い何かを呑み下したような顔をして、幸村は私の頬を手のひらで包み込んだ。

真田幸村

悪いけど、優しくさせろ

イケメン戦国_主人公

え…

真田幸村

我がまま聞いて来てやったんだ。次はお前が俺の我がまま聞けよ

眠る子どもをあやすような手つきで、私の頬を撫でたあと…

イケメン戦国_主人公

ん……

幸村がどこまでも優しく、私に唇を重ねた。
舌先でくすぐりながら、味わうようにゆっくりと口づけが深まる。

イケメン戦国_主人公

ん…、んん…っ

幸村の唇が甘い分、切なさが胸を引き裂いた。

イケメン戦国_主人公

(ひどいよ、幸村…)

溺れてしまいたい衝動に逆らって、幸村の胸を押し返す。

イケメン戦国_主人公

…や、めてっ

真田幸村

…………

イケメン戦国_主人公

(別れるつもりのくせに、こんな優しいキスするなんて、ほんと、無神経…)

今まで堪えた分の涙が、抑えきれずに溢れだした。

イケメン戦国_主人公

(こんなの一生、忘れられない…)

イケメン戦国_主人公

幸村なんて、きらい…

真田幸村

…………

イケメン戦国_主人公

大、嫌い……

真田幸村

…あっそ
]俺は、好きだった。お前のこと

イケメン戦国_主人公

え…

真田幸村

初めから敵だと知ってたとしても、俺はきっとお前に恋した

イケメン戦国_主人公

(っ……)

私がぴくっと目を上げると、幸村は吹き出した。

真田幸村

あーあ、ひでえ顔。鏡で見せてやりてえ

幸の手の甲が、羽で触れるようにそうっと、私の頬を拭う。

イケメン戦国_主人公

う…、ぁ…っ

真田幸村

泣ーくーなーって

イケメン戦国_主人公

む、り……っ

真田幸村

…ったく
最後まで、しょうがねえヤツ

幸村が笑って、私の涙を唇で盗んだ。

イケメン戦国_主人公

(あ…)

真田幸村

じゃーな、●●●

仕上げのように私の頭をくしゃっと撫でて、幸は立ち上がった。
振り返らずに遠のく背中を見送りながら、私は瞬きも忘れた。

イケメン戦国_主人公

(っ……好きって言えなかった。どうしても、言いたくなかった)
(これが最後だなんて、嘘…)

恋をしてからずっと、胸の奥が燃えていた。
幸村の背中が見えなくなっても、焚きつけられた火が消えず、熱を上げ続けた。


がろはる_喜

この場面、いいよね。決定的なことはないんだけれどもこの感じ、すごく好き♡