このページではイケメン革命レイのプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!
今回の「あなたを、わかりたい」は第4話後半のアバター試練プレミアストーリーになるぞ!!
プレミアストーリー「あなたを、わかりたい」
偶然、現代の世界から魔法の国に迷い込んでしまった主人公。最初に出会ったレイのいる黒の軍の兵舎に保護されます。
黒の軍やレイが戦う理由についてシリウスから教えてもらった主人公は、彼の計らいでレイと二人で買い出しいくことになります。
※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。
その翌日……
羊皮紙、ペン、魔宝石、パケット……
なんで食べ物まで入ってるわけ
シリウスさんから手渡されたメモを見つめて、レイが渋い顔をする。
(……まさかシリウスさんの頼みごとがレイと買い物に行くことだとは思わなかったな)
てか、これ今、必要なもの?
首を傾げるレイの隣に並びながらも、まだあの夜の気まずさが胸の中に残っていた。
(シリウスさんはレイと少しでも話せるように、買い物を頼んだんだろうけど)
(……ケンカしてるわけでもないし、何を言えばいいんだろう)
……まあ、行くしかねえか
おい、なにぼうっとしてんの
え……
ちゃんと俺のあと、着いて来いよ
まだ知らない街で、迷子になりたくねえならな
それだけ言うと、すたすたと前を歩いて行ってしまう。
ま、待って!
待たない
……っ
(……レイってやっぱり、意地悪だ)
少しだけむっとしながら、私は慌ててレイの背中を追いかけた。
——(場面転換)
雑貨屋、市場、酒屋……、色んな場所に立ち寄って買い物をしていくうちに、気づけば空は茜色に染まっていた。
(えっと……)
これで全部、だよね
ああ。……ったく、あのおっさん人使い荒すぎ
手の中の荷物を見て、レイはため息を落とす。
それじゃ、行くか
まだ買ってないもの、あったっけ?
そうじゃなくて
お前にまだ、クレイドル案内してなかっただろ
(あ……)
予想外の言葉に何も言えないでいると、レイが不服そうに尋ねる。
それとも、帰る?
ううん……!案内してほしい!
了解
また慌ててレイの背中を追って、辿り着いた場所は……
うわ……
私が最初に辿り着いた場所、ガーデンだった。
たくさんの薔薇の花が、夕暮れの風に揺れている。
綺麗だね……、昼間とも夜とも雰囲気が違う
色んな場所があるけど、俺はこの時間のここからの景色が、一番好き
……
あんま他の奴らは、入ってこれねえしな
レイの視線を辿って行くと、空と同じ色に染まるクレイドルの街が広がっていた。
不思議な静けさの中、ずっと胸に抱えたままだった言葉が溢れてくる。
(……私、ちゃんとレイに伝えたこと、伝えられていない)
(何も、言えてない)
【回想シーン】
お前、手、冷たい
…………なあ、怖くなったんだろ
え?
俺のことが……戦いが起こる、この世界のことが
……っ
怖いなら、目、背けとけよ
そしたらすぐに満月の夜が来る
怖いんだろ、そう聞かれて私は振り向くことも、言葉一つ返すこともできなかった。
(けど……)
……ねえ、レイ
ん……?
前に、レイが私に聞いたでしょ
レイと、戦いが起こるこの世界が怖いのかって
……
レイが言った通りなの
私は、確かにあの時、レイのこともこの世界のことも、怖いと思った
ふっと隣を見たレイと、視線が重なる。
だけど、シリウスさんから色んな話を聞いて……
レイがキングとして戦ってる姿を見て、怖さが薄くなっていったんだ
……薄く、なる?
うん。怖いと思う気持ちがなくなったわけじゃない。けど……
自由に笑える今を、守りたい……そう言った声が、胸の真ん中で響く。
一度だけ息をついて、レイの瞳を見つめて告げた。
私は、この世界のことを、わかりたい
黒の軍のみんなのことを、わかりたい
……レイのことを、わかりたい
……
そう、思うんだよ
少しだけ強い風が吹いて、髪をさらっていく。
あ……ごめん。勝手に、話し過ぎちゃって
その瞬間。レイの瞳が少しだけ柔らかくなる。
……変な奴
…………変?
あんなに怖がってたのに、わかりたいって言い出すとは思わなかったから
レイはにやりと笑うと、その場から歩き出す。
あ、レイ待って!
…………好きにすれば
え
これからも一緒にいんだから、俺らのことを知る時間なんてまだまだあるんだろ
振り向いたレイの横顔を、茜色が染める。
お前の言葉、覚えといてやるよ
……
逆光で、今、レイがどんな顔をしているのかわからない。
だけど、聞こえてきた声は今でも聞いたどんな声よりも柔らかくて、それだけで今はいいのかもしれない、
そんなことを考えた…
……さてと、戻るか
遅いと遅いで、あのおっさんうるせーしな
面倒くさそうにぼやくと、手が差し出される
……ん
……?
だから……
呆れた声のあとに、腕に抱えていた荷物が奪われる。
持ってやるって言ってんの。お前、鈍すぎ
……いいよ!だってこれじゃ、レイが重いでしょ
お前のひょろひょろの腕と、一緒にしないでくれない?
(……うっ。それは、そうだけど)
……わかった
それじゃ、一緒に持とうよ
やだ
え……
私の言葉をばっさりと切り捨てると、レイはまた歩き出してしまう。
……やっぱりレイって
なに
なんでもない
ふーん
その時、ふと同じ歩幅で歩いていることに気づく。
(もしかして、……歩幅、合わせてくれてるのかな)
そう聞いてみたいけど、聞いたらこの距離がまた変わってしまう気がして、私はただ黙って、レイの隣を歩いて行った…
即座の切り返しの「やだ」が最高に胸キュンですなぁ♡