このページではイケメン戦国謙信のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!
今回の「幸福に至る病」は幸福ルート第十三話中盤の恋の試練プレミアストーリーになるぞ!!
プレミアストーリー「幸福に至る病」
顕如との戦いに勝ち、そして主人公を安心して愛せるようになった謙信。
すべてが終わり、謙信の帰りを待つ主人公でした。
※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。
●●●、待たせたな
謙信様は馬から降り立ち、私に両手を広げる。
(これって…)
来い
はい……っ
何も考えず幸せに満たされて謙信様の腕の中に飛びこむ。
(……好き。大好き)
不安な夜がけし飛ぶくらい、強く謙信様を抱きしめる。
固い胸板に顔をうずめていると…
…苦しいぞ、●●●
あ、ごめんなさい
回した腕を慌てて緩め、謙信様から身体を離す。
いや……。今のはなしだ
え?
お前がどんな顔をしているのか見たくなって嘘をついた
だが、いざお前が離れたら温もりが恋しくなった
っ…何ですか、それ
(理由が……可愛すぎるよ)
(誰もがかしずくような威厳のある方なのに)
真顔で主張する謙信様に愛しさが溢れだす。
ひとまず、もう一度抱きしめさせろ
そのあとで、ゆっくりとお前の顔を見ることにする。異論はないな?
(もう…っ)
…あるわけないじゃないですか
良し
謙信様は満足げに笑い、もう一度私を抱きしめる。
(温かい……)
(このまま、ひとつになってしまいそう)
高まる鼓動に促されるように謙信様の背中に腕を回した。
お帰りなさい、謙信様
ああ。ただいま
(やっとすべてが終わったんだな…)
あなたが無事に帰ってきてくださって嬉しいです
心配するなと言っただろう
(あ……)
謙信様はゆっくりと私から身体を離す。
去っていく温もりを寂しいと感じたのは一瞬で……
俺が勝てない相手は、お前だけだ
頬を両手で包まれ至近距離で愛の囁きを放たれた。
お前だけが俺の心を打ち負かし、その最奥まで征服した
(嬉しい…。謙信様にとって、かけがえのない存在になれてるんだ)
今あらためて言おう。●●●、俺とともに越後へ来い
謙信様…
強い意志を持って見つめられ、とくとくと心音が速まっていく。
ただし、来ればお前を二度と自由にはしてやれん
以前のように閉じ込める気はないが…
すべてを受け止められる歓びを知った俺はもうお前を手放せない
逃げられないくらいに愛をそそぎこみ、見えない糸で縛りつける
(そんな心配、する必要ないのに…)
私が逃げようとすることなんてあり得ません
今ここに立ってるのだって……私から離れてしまおうとした謙信様を追いかけてきたからですよ
……そうだったな
私の言葉を聞いた謙信様は心から嬉しそうに微笑んだ。
兵や馬を休息させるため出立は明朝とした
織田軍に別れの挨拶はさせてやる。だが、今は俺とともに過ごせ
もうこれ以上、お前を我慢する気はない
はい……っ
(私も、もう我慢しなくてもいいんだ)
(謙信様を思い切り愛して……愛されることができるんだ)
胸を弾ませながら、差し出された謙信様の手をきゅっと握った。
上杉軍の陣地に行くんですか?
それは後回しだ
先にお前を安土城下へ連れていく
城下へ?
(どうしてだろう)
きょとんとしている私の髪を謙信様が撫でる。
面白くないが、お前にとって安土は愛着のある場所のようだからな
越後へ発つ前に見ておきたいのではないかと思った
え……
(私のために……?)
越後にいた頃、安土城から贈られた反物のことで謙信様と衝突したのを思い出す。
(あれだけ私が安土への愛着を持つことを嫌っていたのに)
どうした、行きたくないのか?
いいえ! 行きたいです、謙信様と一緒に
(嬉しくて……どうしようもない)
これから私は謙信様の変化を、ひとつずつ実感していくのかもしれない。
(それってものすごく幸せだ)
謙信様、ありがとうございます!
ああ。さっそく行くぞ
謙信様の差し出した手を取り、馬上に乗せられる。
そのまま安土城下へと連れていかれ……
…………
(何もかも懐かしかったな…)
見慣れた町並みを散策し、静かな場所に差し掛かった私たちは足を止めた。
連れてきてくださってありがとうございます
でも、謙信様には退屈じゃなかったですか?
いや。お前の顔を見ていれば飽きることはない
じっと視線を注がれ頬が熱くなる。
それに……思いの外、俺もこの町を懐かしく感じているようだ
(え?)
本当ですか……?
意外な言葉に驚き、謙信様の顔を見つめる。
俺はこの町でお前と再会した
知らず知らずのうちに愛着めいたものが生まれていても不思議ではない
こうして町を歩いていると、お前との思い出がよみがえる
あ……
謙信様の瞳が澄み渡り、空の色を映している。
それに目を奪われながら……私の頭の中に、出逢った頃の謙信様の姿が浮かぶ。
(冷たくて、そのくせ優しくて…)
(誰より強いのに、あなたはどこか哀しげだった)
……あの頃は、謙信様と深い仲になるなんて思ってもみなかったです
(ただ、自分でも気づかないうちに惹かれていた)
俺もだ
他の女と同じようにお前を遠ざけようとして、そのたびに調子を狂わされた
そうだったんですか……っ?
ああ。あの時は取るに足りないと思っていた出来事の数々が、今は愛おしい
(嬉しい…)
胸がいっぱいになって謙信様に笑いかける。
私もです。私も謙信様との思い出をひとつ残らず覚えてます
そうか
謙信様も私に応えて笑みをこぼしたあと……ふと真剣な表情になる。
――恋仲になってから、俺は安土の連中に対する嫉妬を抑えられなくなった
お前も身をもって体感したはずだ
……はい
互いに傷ついて、それでも寄り添った切ない日々が思い出される。
今も、俺の中の独占欲は変わらずに燃え続けている
(っ……わかってる)
(謙信様の愛がどれだけ純粋で激しいか…)
おそらく――俺は生来、我儘なのだ
愛する女のことは、ひとかけらも残さず俺のものにしなければ気が済まない
狂おしい情動を孕んだ視線が、私を深くまで貫いた。
だが……今の俺は、かつてのように愛執でこの身を焦がさずにいられる
お前が変わらずにずっとそばにいてくれることを、信じているからだ
謙信様……
(こんなに大きな愛情を、謙信様は私に向けてくださってる)
お前のそばで見る光景は何もかも愛おしい。――この、安土城下ですら
●●●、お前との思い出の場所を焼き払わずに済んで良かった
っ、はい…。私も謙信様と今こうして安土城下にいられることが嬉しいです
(この人と支え合って生きて行こう。これからもずっと)
大好きです、謙信様
っ……
無防備にそういうことを言うと、ひどい目に遭うぞ
……遭わされてもいいです、謙信様になら
(恥ずかしいけど、本心だから知っておいてほしい)
まったく、手に負えない女だな、お前は
(わ…)
ぐいっと引き寄せられ、謙信様の腕の中に収まる。
不意打ちで与えられた温もりに肌がほのかな熱を帯びた。
っ、謙信様、誰か来たら……
(困るのに引きはがせない…)
それだけ私もずっと謙信様の温もりに飢えていた。
では、二人きりになれる場所に連れて行ってやる
そこでゆっくりと……昨日の口づけの続きをしてやる
長い指先が私の唇をなぞり、ぞくりと身体が震える。
(あ…)
危うい熱に侵されるまま、私は謙信様に頷いた。
…………
城下の外れにある宿の一室で、謙信様に組み敷かれた。
(だめだ。ドキドキする……)
●●●、こちらを見ろ。なぜ目を逸らす
っ、でも久しぶりだから緊張してしまって……
(まだ時間も早いし……)
何も隠すことのできない柔らかな日差しに包まれ、謙信様を見上げる。
俺にならひどい目に遭わされても良いのではなかったのか?
う……それは……
初々しい女だな。……だがそこが愛らしい
良いだろう。お前の緊張が解けるよう協力してやる
(え?)
ん……っ
噛みつくように唇を奪われ、舌先で呼吸を乱される。
ん…っ…ふ、ぁ…
(っ…深、い)
頭の芯がとろけるようなキスのあとで……
儚い水音を立てて唇が離される。
緊張は解けたようだな
っ・・・ぁ、こういうのは、緊張が解けたって言いません…っ
だが力は抜けている
謙信様の手のひらが私の身体を静かに滑り降り……
しゅるり、と私の帯が解かれる音がする。
(あ、だめ…っ)
肌をさらされ身じろぎしようとすると……
こら、どこへ逃げる
笑みを含んだ声と同時に、身体を抑えつけられた。
っ、待って…ください、まだ、覚悟が…
(だって、どうしていいかわからない)
(こんな気持ちになったのは初めてだから…)
覚悟など必要ない。お前は俺に溺れて、しがみついていれば良い
でも…まだ明るいし…
目隠しでもすればいいのか
そういう問題じゃありません……っ
お前より美しいものを俺は知らない
だから、安心してお前のすべてを俺に見せろ
(っ……)
謙信様が私の首筋に唇を落とすと、
色素の薄い髪が、きらきらと光に揺れた。
(ああ――やっとわかった)
(私がこんなにドキドキしてたのは……)
(こんなに手放しの幸せの中で謙信様に抱かれるのが、初めてだったから)
私を抱く謙信様の目にもう憂いはない。
愛している、●●●。俺のすべてをお前に与えよう
っ、あ…謙信様…っ
(ただでさえ想いが溢れてるのに…)
(これ以上謙信様で満たされるなんて)
過去の哀しみに追われることもなく、切なさに胸を裂かれることもなく……
幸せの象徴のような光に包まれ、何度も謙信様に縋りついた―…
昼から街はずれの宿とか…。昼ドラですか??( ゚Д゚)