このページではイケメン戦国謙信のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!
今回の「背中の爪痕」は第十話中盤の恋の試練プレミアストーリーになるぞ!!
プレミアストーリー「背中の爪痕」
織田との一時的な協定を結ぶことが決まった謙信軍。
その使者としてやってきた三成は主人公を案じ、美しい反物を手土産としておいていきます。
その手土産に激しく嫉妬する謙信…
※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。
どこへ行く
(あ…)
あっけなく距離を詰められて背中に壁が当たる。
その瞬間、ぞくりと嫌な予感に全身が震えた。
お前にはやはり俺のものだという自覚が足りないようだ
いっそ、その身体を躾け、心ごと服従させてやろうか
(何をする気なの…?)
怯みながらも、謙信様を見つめ返す。
私が何かしましたか……?
悪いところがあったら、言ってくれなきゃわからないです
(謙信様と両想いになって重なったはずの距離が、また引きはがされていくみたい)
お前は悪くない。……どうしようもなく無防備なところ以外は
え……?
●●●
(っ…)
謙信様は私の髪を一筋すくいあげ、白い指先で弄ぶ。
信長たちからもらった反物、お前はあれをどうするつもりだ
石田三成が言っていたように、着物を作り、それを肌にまとうか
(これって……嫉妬、だよね?)
(だけど、少し行きすぎじゃないかな)
戸惑って眉を寄せる。
……あの反物で着物を作ったら、いけませんか?
いいや、お前の自由だ
(本当に……?)
だが…
…あ…っ
髪に触れていた謙信様の指先が、つつ…と私の胸元に滑り落ちた。
その姿で俺の前を歩いたが最後、この手で着物をはぎとってやろう
っ、何で…
冷たい囁きの中に滲んだ危うさにあてられて、どくっと鼓動が跳ねる。
想像しただけでこれほど腹立たしいのだ
実際目にすれば、どのくらいの衝撃を受けるか計り知れない
お前が裸で愛らしく震えることになったとしても仕方あるまい
(裸って……)
捕らえた獲物を嬲るような視線にさらされ、
着物に隠れているはずの肌にまで羞恥の熱を植えつけられた。
けれど――
(どうしてわかってくれないの?)
強制的に高められた熱と一緒に、耐えがたい切なさが私を呑みこんでいく。
謙信様の仰ってることはおかしいです……っ
なぜだ
安土城のみんなのことは大切ですけど……私にとって特別な存在はあなただけです
だから、反物の贈り物ひとつで、そんなに気を悪くされる理由がわかりません
(言っちゃった……。でも、これが私の率直な考えだから)
きゅっと唇を噛んで謙信様を見上げる。
わからない、か。そうだろうな
謙信様……?
苦しげに笑う謙信様に胸が軋んだ。
(お願いだから、そんな顔しないで)
●●●。やはり俺はどうしようもなく怖れているのだ
……お前を喪う日が来ることを
あ……
謙信様が過去の哀しみを打ち明けてくれた時のことが思い浮かぶ。
……
喪うならば愛さないと、決めていたのにな……もう、手遅れだ
俺は戦では死ぬ気がしない。だがお前が死んだら、俺も死ぬ
……
(……あの時から、謙信様はずっと怖れてたんだ)
(私には想像もつかないくらい、強く)
いつか喪うと感じるからこそ――
今のお前に対する執着心が、底なしの泉のように溢れる
守ろうとする決意は、いつしか暗い独占欲に取って代わられる
謙信様は静かに俯き、私の頭に口づけをひとつ落とした。
(謙信様との生活が、幸せなのにどこか壊れてしまいそうに感じたのは…)
(私が知らないところで、謙信様がたくさんの感情を抑えつけてたからだ)
――ひとつに重ねたはずの想いが段々とずれていく。
闇の中で溺れていくような感覚に、息が苦しくなった。
皮肉なものだ
狂おしいほどに想っているのに、俺の愛はお前を傷つける
(いつか謙信様の感じてる怖れが、消える時は来るの?)
膨れ上がる不安に押し潰されそうになるけれど…
(……ううん、私が信じなきゃ)
(ひとりで大きすぎる哀しみを抱えて生きてきたあなたを、幸せにしたいから)
消えない灯を胸に温め、謙信様へ手を伸ばす。
(今はただ、少しでも謙信様の痛みを和らげることができればいい)
……大丈夫です
(言葉で伝えられることは限られてるけど…)
余すことなく気持ちを表したくて、自分から謙信様の身体を抱きしめる。
●●●…
私、半端な気持ちで謙信様と生きるって決めたわけじゃないです
簡単に傷つけられるなんて、思わないでください
(けして諦めたりしないから…)
見上げると、謙信様の瞳が迷うように揺れていた。
……温かいな
謙信様は吐息とともに、私の背中にぎゅっと腕を回す。
人の温もりが心を落ち着かせると、お前が俺に教えたのだ
あの時、戦場に取り残され、誰よりも震えていたはずのお前が
(――ああ、そうだった)
……
人の温もりって、落ち着きませんか?
だから、心が不安な時はひとりにならないでください
俺は不安など感じていない
そうかもしれませんね。でも……
私は、不安です。だからこのまま触れててもいいですか?
駄目だ
え? ……あっ
お前に触れられるのではなく、俺がお前に触れる
……
あの時から、俺はお前に縋ってばかりだ
そんなの私だって同じです。危ないところを、何度も謙信様に助けてもらいました
(あの時から、私は謙信様に寄り添いたかったんだ)
(強くて優しくて、誰もが畏れ敬うあなたに、危うい一面があると知ったから)
視線を絡め合い、どちらのものかわからない吐息の音が聞こえる。
目をつむれ、●●●
ん……っ
謙信様は私を壁に押し付けるようにして、一瞬だけ唇を掠め取った。
もっとお前の温もりが欲しくなった
……そういう言い方は、ずるいですよ
謙信様と一緒に部屋に戻り、私たちは身体を重ね合わせた。
…ぅ…謙信様…もう少し、ゆっくり、おねが…っ
お前が愛らしい声をあげるのをやめれば、考えてやっても良い
そんなこと、言われても…っ
組み伏せられた身体の至るところに、容赦なく謙信様の唇が落とされる。
そのたびに甘い痺れが走り、瞬く間につま先まで蕩けていく。
(このままじゃ、すぐだめになりそう)
知っている。抑えさせる気もない
耳を甘く噛まれ、残酷な囁きを直接流し込まれた。
っ…も…ひどい…
嫌いになったか
ぁ、や……っ
霞みがかった思考の中、必死にかぶりを振る。
っ……好き
聞こえんな
意地悪な指先に翻弄され、声が掠れる。
好きです、謙信様……っ
…足りない
俺の方がはるかに、お前を愛している
違……っ
違わない
ん……んん……っ
抗議しようとした唇をふさがれ、強引に舌が押し入る。
(何度叫べば、この方の心に届くんだろう)
深くまで乱されて、謙信様の背中に爪を立てる。
(いっそ、痕が残ってしまえばいい)
(これだけ謙信様を求めてる、証だから)
すっかり熱くなった身体にしがみつきながら、ふとそんなことを思った―…
謙信様とのプレミアはなんか大人なストーリー。
罪悪感や背徳感みたいな感じを受けるなぁ