このページではイケメン戦国秀吉のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!
今回の「優しい贈り物」は第二話後半の恋の試練プレミアストーリーになるぞ!!
プレミアストーリー「優しい贈り物」
いつでも優しくて、頼りになる秀吉。
そんな秀吉に裁縫の仕事を頼まれた主人公は仕事を完了すると、秀吉に会いに行くのでした。
※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。
(できた!着物に挑戦したのは初めてだけど、何とかなったな)
縫い上げた小袖を広げながら、笑みがこぼれる。
こうして服を作り上げるのは久しぶりだ。
(今できる精一杯のことはやったけど、まだまだだな)
(これを着る女の子が、気に入ってくれますように)
心からそう願うけれど、なぜか少し胸が痛んだ。
小袖を縫ったのは、数日前、秀吉さんに依頼されたことがきっかけだった。
今夜はお前に仕事を頼みにきたんだ
(仕事?)
にっこり笑って秀吉さんが風呂敷包みを解く。
中身を見て、私は目を見開いた。
これを、お前に預けたい
(これって・・・私が市で見てた布だ)
仕事ってもしかして、服を作る依頼?
正解。大事な奴への贈り物にするつもりなんだ。頼めるか?
(どうしよう。着物は作ったことないけど・・・)
(せっかくの機会だから、挑戦したい・・・!)
秀吉さん、実は私、着物を縫った経験はないの。だけど、作り方をちゃんと勉強します
だから、引き受けさせてください
どきどきしながら、私は秀吉さんに頭を下げた。
逆に頼み込むとは、いい意気込みだな。よし、任せた。
とびきり可愛く仕上げてくれ。頼んだぞ
(秀吉さんの期待に応えられるよう、全力は尽くしたつもりだけど・・・)
(大事な奴って、どんな子だろう)
(やっぱり恋人かな。前に市で出会った子たち、皆、可愛かったし・・・あの中の誰かかも)
会って聞けばいいことなのに、何度も同じ疑問が頭を巡る。
胸がちくちくするのはきっと、秀吉さんが沢山構ってくれたから・・・
誰かに取られたように錯覚して、少し寂しくなった、多分それだけだ。
(仕事で面倒見てもらってるだけなんだから、寂しくなるのは変だよね)
自分にそう言い聞かせ、私は小袖を丁寧に風呂敷に包みこんだ。
お邪魔します。
秀吉さんの御殿を訪れた私は、案内された私室へと足を踏み入れた。
待ってた。ゆっくりしていけよ
うん・・・。はい、これ。頼まれてた小袖です。
もう出来たのか!すごいな、お前
広げていいか?
もちろん
包みを解くと、秀吉さんが小袖を広げる。
畳の上に、鮮やかな布が広がった。
(服を作ってるとき、この瞬間が一番、緊張するな・・・・)
着物に見入っている秀吉さんを、ドキドキしながらうかがっていると・・・
・・・大したもんだな。ありがとう
(よかった!気に入ってもらえたみたい)
満面の笑顔を見て、私はようやく胸をなでおろした。
秀吉さんは、用意していたらしい巾着を私に渡した。
謝礼だ。小遣いとして大事に使えよ?
えっ、お金はいいよ。いつもお世話になってるし・・・
だーめーだ。お前は仕事して稼いだんだ。もらってくれないと困る。
ありがとう・・・。それじゃ、ありがたく受け取ります
(嬉しいな。戦国時代でも、ちゃんと仕事を認めてもらえるなんて)
(あっ、でも、秀吉さんに気に入ってもらうだけじゃダメなんだ)
よかったら、これを贈る子に感想を聞いてもらえるかな
え?
変な焼きもちを悟られないよう、できる限り淡々と告げる。
今後の参考にしたいの。気に入らないところがあったらすぐ直すから
―●●●、お前はこの小袖の出来、どう思ってる?
え?私は・・・
まだまだ腕が未熟だし、単純な形になっちゃったから、もっと精進しなきゃ、と・・・
作る側としての感想はわかった。着る側の立場だったらどうだ?
(それは・・・)
自画自賛になっちゃうけど、可愛い着物だなって思ってる
基本的な形だからこそ、帯と帯飾りを色々合わせて楽しめるし・・・
何より、布地がとびきり素敵だし、着心地も抜群のはずだよ
なるほど。それ聞いて安心した
満足げに笑って、秀吉さんが小袖を手に取り・・・
(え・・・?)
私の身体に、ふわりとまとわせた。
もらってくれるか?ささやかだけど、俺からの贈り物だ
(ええ!?)
それじゃ、これを贈る相手って・・・
●●●っていう名前の、最近出会った女だ
その子には色々迷惑かけたんだけど、めげずに頑張ってくれてるから、ちょっとしたご褒美に、な
目を丸くする私の鼻先を、秀吉さんが楽しそうにピンッと弾いた。
(っ・・・どんな顔したら、いいんだろう)
胸がいっぱいで、うまく言葉が出てこない。
いいの・・・?
こら、俺のほうがお願いしてるんだ。頼むから、受け取ってくれ。
ありがとう・・・!
すごく嬉しいのに、なんだか目頭が熱くてうまく笑えない。
あのな、そんなに感激するようなことでもないだろ?
面倒見るって決めた相手は、俺にとっては家族同然なんだ
(家族、か・・・)
秀吉さんみたいな人と兄妹だったら、幸せだろうな
気が合うな、俺も同じこと考えてた
お前みたいな妹がいたら、可愛がり倒すのにってな
ほんと?
本当だ。ま、残念なことに妹がいないから、お前を可愛がることにした。
それじゃ私も、秀吉さんを本物の兄だと思うことにする
(嬉しいな・・・)
さっそく着てみてくれ、部屋の外で待ってるから
うん
・・・あ、その前に
秀吉さんは、物入れから包みを取り出し、私の前で広げた。
帯はコレで、帯飾りはコレだ。で、簪(かんざし)はコレを使え
え・・・。これ、秀吉さんの・・・?
そんなわけあるか!お前のだ
私の?もしかして、これも用意してくれてたの・・・?
しょうがないだろ。市に連れてっても、お前は遠慮するから・・・
こういう形なら受け取ってくれるだろうと思ったんだ
城に来たばっかりで持ち物も少ないし、これくらいなら邪魔にならないだろ?
(そこまで考えてくれてたんだ・・・)
秀吉さんって気遣いの達人だね。全日本お兄ちゃん選手権があったら確実に天下を取れるよ
わけわからないこと言ってないで、いーから着替えろ
うん!
秀吉さん、着替えたんだけど・・・・・どうかな?
襖を開いて呼ぶと、秀吉さんが戻ってきて、目を細めた。
ん、可愛い
(・・・っ、直球だな)
お世辞だとしても、嬉しくならずにはいられない。
ただ、ちょっと帯が曲がってる。じっとしてろよ?
え?あ・・・
後ろを向かされ、テキパキと帯を結び直される。
(お兄ちゃんっていうか、もはや保父さんっていうか・・・)
(こんなに甘やかされて、いいのかな、私)
くるりと正面に向き直されると、あたたかな眼差しが降ってきた。
よし、完成。似合ってる。
見上げた顔がどこか自慢げなのが、少しおかしい。
世話を焼いてる時の秀吉さんって、いきいきしてるね
そうか・・・?
(自覚ないんだ)
(兄みたいに頼もしいだけじゃないかもな。ちょっとだけ、可愛いって思っちゃった)
胸がざわつくのを感じながら、小さく微笑む。
・・・困った人だね。秀吉さんって
っ・・・
妹のくせに、生意気言うな
少し照れたような顔で、仕上げのように優しく頭を撫でられて・・・
ただの安心とは違う、危ういときめきが、私の胸を心地よく揺らした。
このサプライズはすごくいい♡大好き♡
でも、やっぱり兄妹関係なのね…悲しいワン(*´Д`)