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イケメン戦国 | 徳川家康 プレミアストーリー②「甘やかな命令」

このページではイケメン戦国家康のプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!

今回の「甘やかな命令」第六話中盤の恋の試練のプレミアストーリーになるぞ!!

プレミアストーリー「甘やかな命令」

ケガをしてしまった家康。主人公の献身的な看病のおかげで安土城での軍議に復帰します。家康の帰りを主人公は玄関先で待ち構えますが、逆に話があると連れ出され…

※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。


(ここは…)

家康さんが私を連れて来たのは、城下町のはずれにある野原だった。
星明かりに照らされて、野の花が美しく咲き乱れている。

(綺麗、だけど…)

花よりも、家康さんの物憂げな顔に目を奪われてしまう。

ふたりきりで、話がある
だから……来て

(話ってなんだろう)

家康さんのまとう張り詰めた空気が伝染して、胸が騒ぐ。
花畑の真ん中で足を止めると、家康さんはすっと手を離した。

……急に連れ出して、ごめん

(ごめん!?)

っ…どうしちゃったんですか、家康さん!

は?

家康さんが謝るなんて……、やっぱり具合、悪いんじゃ…

あんたね、人を何だと思ってるの

気が抜けたように、家康さんが息をつく。

(あれ、違うの?それなら、どうして……なんだか元気がないんだろう)

私をじっと見下ろして、家康さんは静かに告げた。

……あんたを信長様の元に戻すことになった

え……?

今夜のうちに、荷物、まとめといて

(明日には私、安土城に戻されるってこと?)

家康さんの言葉は寝耳に水で、理解するまで数秒かかった。

(そんな……)
(家康さんのそばに、もう、いられなくなるの……?)
(安土城に戻ったら勝手に外には出られないだろうし、今までみたいには会えなくなるよね…)

どうして急に……?

あんたを俺が預かる理由が、もうなくなった

それは……私がもう勝手に逃げ出さないって判断されたってことですか?

それもあるけど……
あんたを襲った浪人を捕まえて、あいつの仲間も全員牢に閉じ込めたから

(どういうこと……?)

私を家康さんが見張ってたのは、逃げ出さないようにするためじゃなかったんですか…?

それは、あんたを大人しくさせるための、後付けの理由だったんだ

(じゃあ、本当の理由が別にあったの……?)

捕えた浪人が今川家の人間だったって話、覚えてる?

っ……はい

(忘れたくても忘れられない。家康さんに酷いことをした人だから)

あの人は私をさらおうとした挙げ句、家康さんを痛めつけた。
病床で、苦しげに怒りに堪えていた家康さんを思い出すだけで、胸が締めつけられた。
けれど家康さん自身は、感情を抑えつけるように、ごく冷静に話を続けた。

光秀さんが尋問したところによると、予想してた通り、奴らは元々信長様への謀反を企ててた
どこからかあんたの情報を入手して、さらって復讐に利用しようとした。だけど…
再会すると思ってなかったもう一人の仇(かたき)、つまり俺に遭遇して、あんたの誘拐を妨害された。

頷きながら、その夜の記憶がありありとよみがえる。


「一緒に来てもらうぞ。恨むなら、信長を恨むんだな」


--その女に触れるな

--お前じゃ俺の相手にはならない。わかったら、消えろ


「おのれ……覚えていろ!」


俺に対して逆上したあいつは、復讐の対象を信長様から俺に移して…
俺をおびき寄せるために、安土付近の山で野盗のフリをして暴れてたらしい

(そうだったんだ……っ)

奴らは今、全員、安土城の牢の中だ
だから……あいつらがあんたを狙うことは、二度とない

(もしかして……)

あの人達から守るために、私は家康さんの御殿に預けられたんですか……?

そういうこと
どういうわけかあんたの存在が織田軍の外部に流出して、あいつらに漏れてたから…

一度あんたを城から離して、隠すことにしたんだ
万が一城の内部に間者がいたなら、城内にいてもまた狙われることになるかもしれなかったからね

(全然、気付かなかった……)

それじゃ……家康さんはずっと、私を守ってくれてたんですね

……言っとくけど、俺は信長様の命に従っただけだよ
あんたを守ることにしたのは織田軍の総意だ
まあ、あんたが逃げ出す可能性もあったし、見張ってたのも本当

(そうかもしれないけど……)

……私、自分が気付いてないところでも、家康さんのお世話になってたんですね
ありがとうございます、本当に

……お礼なんて、いらない。俺は、自分の仕事をしただけ

(仕事って、最後までそんな言い方しなくても…っ)

そう喉元まで出かかったけれど、家康さんの顔を見上げたら、言葉が引っ込んだ。

…………

(家康さん……?)

無自覚なのかもしれないけれど、私を見下ろす瞳は、優しくて寂しげに見えた。

(そうだった。家康さんは、天邪鬼だから……)
(こんな言い方でも……少しくらいは寂しいって、思ってくれてるのかもしれない)

苦しくて甘い心地が、胸にじんわりと満ちてくる。
文句の代わりに、疑問がひとつ胸に浮かんだ。

どうして、私をここに連れだしたんですか?話をするだけなら、御殿の中でも出来たのに

別に、深い意味はない
最後くらい、外に連れ出してあげるのもいいかと思っただけ
俺がケガしてる間、あんたも看病で俺の部屋にこもりっきりだったでしょ

(確かに、そうだった)
(でも、それを嫌だって思ったこと、一度もなかったな)

夜風が花をそよがせ、私の頬を優しく撫でる。
甘い香りが鼻をくすぐった瞬間、激しい願いが胸を貫いた。

(離れたくない、一緒にいたい)

家康さんを見上げ、想いが勝手に滑り出る。

家康さんの御殿から、出たく、ないです

……っ
……なに言ってるの。信長様の命は絶対だ
そもそもあんたは安土城預かりの姫ってことになってるでしょ

わかってます。ちゃんと、戻ります。だけど……っ

(戻りたくないっていう気持ちは、消せない)

わかってるなら、変なこと言うのはやめてくれる
俺は静かになって、せいせいするよ

っ……そんなこと、言わないで

…………っ

私は、寂しいです

●●●……

悩ましげに眉をひそめると、家康さんはため息をついた。

……あんたがこの世の終わりみたいな顔する必要、どこにあるの

(あ……)

背中に腕が回され、次の瞬間、私は家康さんの腕の中に包まれていた。

(っ……)

鼓動がどくっと高鳴って、嬉しいのか寂しいのか、よくわからない。
耳元で、言い聞かせるような声が柔らかく響く。

あんたが城に戻ったって、しょっちゅう会うことになるでしょ、どうせ
俺はケガも治ったし、戦のない間は城に毎日通う。だから……嫌でもあんたの顔見ることになる

……はい

だから、寂しがるだけ無駄だよ

っ……はい

答えた私の頭を、家康さんがそうっと撫でる。
優しい手つきが心地よくて、おかしくなりそうだった。

それから……前から言おうと思ってたんだけど
いい加減、敬語、やめたら

…………え?

(なんで、急に話が飛んだの……?)

秀吉さんとか政宗さんにはため口で、どうして俺だけ敬語なの

ええっと、それた……何となく、失礼かなって……

あんたの面倒一番見てるのは、俺でしょ

いちいち畏まられると、うっとうしいんだけど

でも、家康さん……

家康

(……っ)

家康。ほら、練習

そ、そんないきなり…

往生際が悪いよ、●●●

(わ……っ)

私を腕に閉じ込めたまま、家康さんが顔をじっと覗き込む。
苛立たしげに眉をひそめながらも、目元が少し、赤く染まっているように見えた。

黙って言うこと聞きなよ
……言って

っ……い、いえや、す……?

……うん

(……!)

そっちの方が、いくらかマシ

(っ……笑った)
(初めて、見た……)

心臓が大きく飛び跳ねて、胸が破裂するかと思った。

それじゃ、帰るよ

えっ、あ、うん……

腕が解かれ、温もりがすっと離れる。
けれど、燃えているみたいに身体が熱かった。

(もしかして家康さんが……じゃなかった、家康が、今夜一番話したかったのは最後のこと?)

そう思ったら、ますます鼓動が騒いだ。

(この人に逢えないと思ったら、寂しくなった)
(この人が笑うと、ばかみたいに嬉しくなった)
(笑った顔を、もっと見たいって、思った)

先に歩き出した家康の背中を追いかけながら、想いが加速していく。

(どうしよう、私……)
(この人が好きだ)

別れの切なさが、恋の始まりの切なさに変わって…
今夜、私は、胸に芽吹いていた想いに、ようやく気付いた。


家康の御殿から離れてしまうけれども、それでも敬語を使わなくなったり家康との距離が縮まった気がします♡



この城下町のはずれにある野原は今後二人にとっての特別な場所になっていきます!!