信玄様との両ルート(幸福な恋・情熱の恋)をどちらも恋度MAXで秘密エンドを見ると、特典が貰えるんだよ!
特典は「幸せの特等席」が読めるのとロングボイスだぞ
幸せの特等席
●●●と信玄が甲斐に暮らすようになってから、数日後のこと――
躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)の自室で、ふたりはともに過ごしていた。
君に家具を作ろうと思う
え?
唐突に言い出した信玄を見て、●●●は目を丸くした。
(おっと、そういう顔も可愛い)
沸き立つ愛しさに任せ、●●●の髪を撫でる。
ん…信玄様、くすぐったい…。…じゃなくて
上気しかけた顔を引き締めて、●●●が信玄を見上げる。
(見てて、飽きない子だ)
それって……戦場でした約束を叶えてくれるってことですか?
ああ。そうだ
(君がくれた、将来の優しい約束だからな)
あの約束が、地獄のような戦場で信玄の生きる力を掻き立てた。
嬉しいです……ありがとうございます
●●●は、弾けるような笑みを浮かべた。
じゃあ、私も約束を守ります
君は、俺の隣で着物を作ってくれるんだったな
はい!
●●●は、ぐっと身を乗り出した。
信玄様……今、欲しい着物とかありませんか?
最初にこのお城で作る着物は、信玄様に差し上げたいんです
(へえ…嬉しいな)
少しはにかんだ●●●が、ますます愛しくなった。
ぜひ、お願いしたい。どんな着物かは、任せるよ
君にもらえるなら、俺にとってはそれが最上の着物だ
っ…本当ですか?
もちろん
(姫君の手で作った着物を纏っている間、ずっと幸せな気分でいられるだろうな)
よかった。手拭いしか差し上げたことがなかったから、気になってたんです
(手拭いか…。懐かしいな)
●●●にもらった手拭いは、一度も汚すことなく、今も大事に取ってある。
私、頑張って作りますね
俺もだ。何ができるかは、楽しみにしててくれ
(まったく。信じられないくらい幸せだ)
病に侵されていた自分の身に、こんな穏やかな日々が待ってると、誰が思っただろう。
ふたりで顔を見合わせて、笑みをこぼした。
それからひと月ほど経ち……
隣同士に座り、信玄は家具作りを、●●●は裁縫をそれぞれしていた。
仕事の合間を見つけ、作ったかいがあって、ふたりの作品はそれぞれ完成に近づいている。
隣で大工仕事をされると、うるさくて気が散らないか?
(縫物なんて、細やかな仕事だろうに)
いいえ、私、信玄様が物を作ってるところ見るの、好きです
目をキラキラと輝かせる●●●を見て、胸が甘く疼いた。
(可愛いなー。今すぐ抱きしめたい)
信玄様が作ってるのって……椅子だったんですね
●●●の視線の先には、
この時代の家屋にはそぐわない西洋風の椅子が完成しつつあった。
君と五百年後に行った時、この形の椅子が便利だったからな
再現できるかどうか、ちょっと作ってみた
あとは、やすりをかけて、塗装したら完成だ
(記憶が薄れる前に作れて、よかった)
すごい……! 信玄様ってやっぱり器用ですね
着物を作る方が、よほど器用だ
そうでしょうか?
●●●は首を傾げた。
(ささいな仕草に、いちいち愛しくなるんだから、俺も重症だな)
(五百年後でも、恋の病は治療できないらしい)
●●●は再び、楽しそうに縫物を始める。
私の方も、今日中に完成しそうです
楽しみだ。着るのが待ちきれない
(嫌というほど着物と●●●を褒めちぎって、)
(お礼に目一杯抱きしめるのが、待ちきれない)
信玄の心のうちを知らず、●●●は熱中して、手を動かしていた。
しばらくして……
できた!
●●●が、ぱっと立ち上がって嬉しそうに着物を広げる。
(お、終わったか)
すでに作業を終えていた信玄も、一緒に立ちあがる。
ふふ、どうですか
●●●の手から着物を受け取って、じっくりと眺める。
(いい着物だな、丁寧に作ってることがすぐにわかる)
(色も柄も、俺の好みに合わせて、選んでくれてるんだよな)
ずっと作ってたところを見てたから完成品の想像はついてるはずなのに、
実際に手に取ると、思っていた以上の感動がこみ上げた。
ありがとう、すごく気に入った
よかった。大きさを見たいので、羽織ってもらってもいいですか?
ああ
信玄は着物に袖を通す。
(着心地も抜群だな)
大きさもぴったりですね。お直ししなくてもよさそう…
●●●は信玄の正面に立ち、真剣な顔で着物の襟を整える。
(これを放っておく手は、ねえな)
迷わず身をかがめ、愛らしい唇に口づける。
んっ
顔を真っ赤にした、●●●が信玄を見上げた。
急に、何するんですか
(その涙目の上目遣いが、俺をますます調子に乗らせるんだよ)
君の方が、急に可愛い顔したんだろ
してません!
そうだな。急にしたわけじゃなかった。君の顔はどんな時も愛らしい
……っ……もう、脱がしますね。大きさはよさそうです
少し拗ねた顔をして、●●●が羽織った着物を脱がせる。
(姫君の機嫌を取るとするか)
座って着物をたたみ終わった●●●の前に膝をつく。
信玄様…?
今度は俺の番だな
俺の作った椅子に、座っていただけますか、姫君
●●●に片手を差しだすと……
…はい
小さな声の返事とともに、その手がきゅっと掴まれる。
(からかって、機嫌を取って…その時の反応が可愛すぎるから、止めらんねえな)
信玄はできたばかりの椅子の前に●●●を導き、座らせる。
君のためだけに作った椅子だ。座り心地はどうかな?
すると……
●●●の目から、ぽろりと涙がこぼれた。
(っ、何で泣いてるんだ)
慌てて、椅子の前に膝をついてその涙を拭う。
っ…すみません、嬉しくて…
あの時、戦場であなたを諦めなくてよかったって思ったら、こみ上げてきちゃいました
……
(この子は……)
目を潤ませたまま微笑んだ●●●があまりにも綺麗で、思わず息を呑む。
この椅子……すごく座り心地がいいです
ありがとうございます、大事にしますね
(振りまわされてるな、俺も)
(こうなったら、全力で愛でてやるしかねえ)
悔しさを隠して、わざと余裕めいた笑みを浮かべてみせる。
椅子もいいが、そろそろこっちにおいで、姫君
あぐらをかいて座った膝を叩いて示す。
っ…膝の上、ですか…?
目を丸くした●●●を誘うために、とびきり甘く囁いた。
ああ。君だけの特別な席だ
●●●は少しだけためらう様子を見せたけれど……すぐに困ったように笑う。
もう……そんなふうに言われたら、座るしかないじゃないですか
ん。おいで
●●●が椅子から降りて、信玄の膝の上におずおずとやってくる。
(小動物みたいな子だ)
自分よりもはるかに小さな身体を、ぎゅっと抱きしめる。
すると、●●●が幸せそうに呟いた。
……新しい物、作り出すっていいものですね
そうだな。俺たちの生きてる証をたくさん残そう
…はい
不意に、●●●の澄んだ瞳が、まっすぐに信玄を貫く。
ふたりの生活を作っていきましょうね。これから、ずっと
(…眩しいな)
(こんなにまっすぐに照らされたら、余裕なふりなんて、通じなくなる)
たまらず●●●の肩口に顔を埋めて隠す。
ひゃ…っ…信玄様?
驚いた●●●が愛らしい声をあげた。
(惚れた女に、余裕のないところなんて見せたくねえ)
(つまらない男の意地だって、君には思われるかもしれないが)
――婚姻の申し出、されてるみたいだな
婚姻……っ?
吐息とともに信玄が囁くと、●●●の肩が面白いほど、ぴくりと跳ねた。
(そうやって、君は誤魔化されてろ)
信玄は焦げる胸を押し隠し、すらすらと言葉を続けた。
君と夫婦(めおと)になったら楽しいだろうな
(ま、これは本心だが)
信玄様……っ
簡単に赤くなった●●●の頬を撫でる。
一緒に住んで、おはようとお休みの挨拶をして……。ん? そういえばもうそれはしてたな
あとしてないのは……子作りくらいだな
え……っ
女の子だったら、君に似て気立てのいい美人に育つんだろうなー
(まだ冗談のつもりだったが、想像すると本気になりそうだ)
●●●との幸せな将来を思い浮かべると、自然と笑みがこぼれる。
それを見た●●●も、照れながら笑った。
もう……信玄様って、冗談ばっかり言ってます
冗談じゃないんだけどな
(君に対しては、いつも本気にさせられてしまう)
俺の本気を、今から教えてあげよう
え? …んっ
●●●を抱き寄せ、その唇を不意打ちで奪う。
ん…っ…は、ぁ……
舌で小さな口の中を探ると、重なった唇から吐息が漏れた。
(…たまらないな)
甘すぎる声が、自分の理性をじりじりと焼いていくのがわかる。
唇を離すと……●●●が蕩けた顔で信玄を見つめる。
っ……教えてもらわなくても、わかってます……
私だって、信玄様に……本気なんですから
っ……最高の煽り文句だな
(ああ、もう、降参だ)
駆け引きも大人の余裕も手放し、信玄は、●●●の柔らかい身体に溺れていった―…
子作り!!うわーん、幸せ!!!
特典はさらにあるぞ!
両ルート恋度MAX特典ボイス
「なぁ、名前を呼んでくれないか。
…うん、何度聞いても、いい声だな。
君に名前を呼ばれる度、
生きている喜びに包まれる。
俺はこれから先も、
君の声が届くところにいよう。
ずっと、君を守っていくよ。
愛してる。」