信長様との両ルート(幸福な恋・情熱の恋)をどちらも恋度MAXで秘密エンドを見ると、特典が貰えるんだよ!
特典は「魔王の好きな甘いもの」が読めるのとロングボイスだぞ
魔王の好きな甘いもの
安土城の広間に、織田軍の武将達が信長によって緊急招集された。
(全員、集まったな)
信長様、いったい何事ですか?
非常事態とのことですが、まさか謀反の報がもたらせれたのでは…
いや、そうではない
では、領地で何か不測の事態でも…?
今のところ、俺達の耳には入ってませんが
それも、違う
(もっと由々しき事態だ)
では、いったい何が……
●●●がここ数日、俺に口を利かない
……は?
……
非常事態とは……そのこと、ですか?
ああ
(早急に手を打たねばならん)
眉間に深く皺を刻み、集う武将達を見回す。
どんなことでも構わん。打開策を出せ、貴様ら
重々しく命じた瞬間、政宗が盛大に笑いだした。
信長様がここまで追い詰められるとは、たいしたタマだな、●●●は
ああ、まったく
(こやつら……わかっておらんようだな。事態がいかに切迫しているか)
笑いごとではない。●●●が口を利かなくなりすでに三日…
これまでには一度もなかったことだ
(その間、●●●の笑う顔を一度も見ていない)
(このままでは、俺が持たん)
あの、俺もう帰っていいですか?
駄目だ
では……そうですね
腕を組み、三成が生真面目に信長に尋ねる。
三日前、何かが●●●様との間に、特別な出来事はありませんでしたか?
いや、特には思い浮かばん
……あ
三成と同じく真剣に考え込んでいた秀吉が、目を見開いた。
信長様、原因がわかりました
(何だと?)
本当か、秀吉!
はい。三日前、家臣達のねぎらいのために開いた宴…
あの場に●●●もいたはずです
(それは俺も記憶があるが…)
あー、あれか
なるほどな
(……? どういうことだ)
十中八九、間違いありませんね
……ますます帰りたくなってきた
(全員、何かを察したようだが…)
思い当たる節がなく、苛立ちがつのっていく。
貴様ら、俺にわかるように説明しろ
家臣達が宴の余興に招いた、旅芸人の一座が原因です
(は……?)
信長様、踊り子の女達に滅茶苦茶もててたからな
はい…。そういえば●●●様、かなり心配そうな顔をしていましたね
たしかに、信長様が酌されてるたびに腰を浮かしてたよね
つまり、どういうことだ
あの小娘は嫉妬して拗ねているだけ、ということです
(嫉妬? なぜだ)
妬く必要などないだろう
俺が今さら、●●●以外の女を相手にするはずがない
それは重々承知しております。●●●も理解しているでしょう
ただ、頭でわかっていても、心がついていかない…ということです
(そういうものか…?)
では、●●●に説いて聞かされば良いわけか
…念のため聞いておきますけど、なんて言い聞かせるつもりですか?
嫉妬などくだらん。必要ないことはやめろ、と告げる
っ……畏れながら、それでは逆効果かと
(そうなのか……?)
こういう時は、贈り物でもして喜ばせてやるべきです
贈り物……
あ、豪華なものは避けてください。やましいところがあると勘違いさせるかもしれません
さすがは秀吉だな。町の女に人気があるわけだ
やめろ光秀。お前に褒められると寒気がする
ささやかなものでも、信長様からの贈り物でしたら、●●●様は喜ばれると思います
●●●なら、甘いもののひとつでもあげればコロッと機嫌直すんじゃないですか
(成程、甘いものか)
では、そうしてみることにする
素直に頷く信長に、武将達はそろって、ほっとしたような表情を浮かべた。
貴様ら、礼を言う。大儀であった
(早々に用意をせねば)
険しい表情で立ち上がり、信長は足早に広間をあとにした。その背中を見送り、武将達が顔を見合わせる。
敵陣に突っ込んで眉ひとつ動かさないあの方の言葉とは思えんな
同感です。この変わりようの方がよっぽど緊急事態だ
そうか? 人間くさくなって、俺は好きだけどな
私もです。畏れ多いことですが……少し安心しました
ああ、俺もだ
信長様が動じたり焦ったりできる相手は、●●●くらいだろうからな
今後も●●●の件で緊急招集があるに違いない、と、武将達は全員、同じ結論を出した。
…………
(まだ、起きていたか)
天守へ戻った信長は、●●●を見て目を細めた。
行燈の明かりのそばで、●●●は縫い物に集中している。
…今、帰った
あっ、お帰りなさ、……っ
(…………)
顔を上げた●●●は、途中で言葉を途切れさせ…しまった、と言いたげに、ふいっと顔を背けてしまった。
(まだ機嫌は直っていないようだな)
(だが、それも今宵で終わりだ)
●●●に歩み寄り、正面に腰を下ろす。
●●●、顔を上げろ
顎をすくい、問答無用で唇に親指を押し当てると…
っ……? あ……
信長は、●●●の舌の上に、用意した金平糖を転がした。
●●●は目を瞬かせながらも、金平糖をもぐもぐと食べた。
……急に何をするんですか
(……! ようやく、口を利いたな)
この三日間、胸にかかっていたもやが晴れていく。
貴様への贈り物だ、●●●
贈り物……?
南蛮人から買い入れた玻璃の皿に、金平糖を丁寧に盛る。目の前に供すると、●●●が複雑そうな表情になる。
なんで、急に贈り物なんて……。やましいことでもあるんですか?
(おお…。秀吉の言ったことは、なかなか的を射ていたのだな)
(今度、褒めておくか)
感心していると、●●●の顔が少し哀しげに曇った。
黙るってことは、やっぱり…
いや、違う。やましいことなどあるわけがない
(俺は、貴様しか目に入っていないというのに)
貴様が笑わないと、俺が落ち着かん
貴様が哀しげな顔をすると、俺の、胸が騒ぐ
信長様……
(……そういえば、以前、●●●に似たようなことを言われたことがあったな)
……
私があなたを心配しちゃいけないんですか…っ?
貴様が俺を心配する理由などないだろう
あります、たくさん…!
あなたに元気がないと私も元気がなくなるし、
あなたが優しく笑うと嬉しくなる、だから…っ
あなたを心配するのは、私の勝手です!
っ……
……
(あの時は、●●●の言葉が理解しがたかった)
(甘っちょろいと、斬り捨てた)
(だが、今なら理解できる)
●●●の痛みは自分の痛みで、喜びは、自分の喜びだ。頭ではなく、身体で、そう感じる。
ここ数日、貴様が口を利かなかったのは……妬いていたせいか?
っ……それは……
困ったように頬が染め、●●●が俯く。
(ほう、図星か)
光秀の見立ては正しかったらしいな
え?
嫉妬など無駄なことをするな、と貴様に言い聞かせようかとも思ったが……秀吉に止められた
贈り物を用意したのは、政宗の進言だ
ささやかな甘いものが良いと言っていたのは、三成と家康だったな
ちょっと、待って下さい
信長様は……いったい皆と何を話してたんですかっ?
あやつらを招集し、貴様の機嫌を直す方法を論じていたのだ
え…………?
(なかなか有意義な策が出た。今後も有事の際は意見を聞くとするか)
満足して腕を組むと、
もう……きっと皆、今ごろ呆れていますよ?
(……!)
●●●の顔が、三日ぶりにほころんだ。鈴が鳴るような声をたて、おかしそうにくすくすと笑いだす。
(ようやく、雪解けか……)
安堵が胸に広がるけれど、疑問が残った。
なぜ、そこまで笑う?
だって、信長様が皆に相談してるところを想像したら、おかしくて…
(……? 家臣に意見を求めるのは当然のことだろう)
(共に住むようになってしばらく経つが、相変わらず読めん女だ)
それにしても、どうして金平糖なんですか…?
気に入らんか
いいえ、嬉しいです。それに、美味しいです
信長様がこれを選んだ理由が気になるだけです
(理由か。何が良いか、ずいぶん悩んだが……)
貴様に贈るなら、共に味わえるものが良いと思って選んだ
え?
金平糖をひとつ手に取り、口に放り込む。カリリと噛んで、淡い甘さを舌で愉しむ。
好物だ。実は
嘘…っ? 初めて知りました
甘いものなど滅多に口にしないが、これは、時々妙に欲しくなる
意外です……
よくそう言われる。なので、人前で食うことはあまりない
(いちいち驚かれていては、まともに味わえんからな)
……そうですか
ますます嬉しそうに笑って、●●●は金平糖をひとつ、口に入れた。
(どうやら機嫌はすっかり直したらしいな)
貴様も金平糖が好きだったとは知らなかった
やっと、俺に笑ったな
顔を寄せ、視線を交わらせる。●●●は少し困ったように目を伏せた。
金平糖を食べたから笑ったわけじゃありません
(そうなのか…?)
信長様が私のことを一所懸命考えてくれたことが、嬉しかったんです
●●●……
あとは……。怒らないでくださいね? あなたが可愛いと思ったから
(可愛い? 何の話だ?)
貴様は相変わらず、わけがわからんことを言う
可愛いのは貴様だろう
っ……いいえ、信長様の方です
●●●の頬が、恥ずかしそうに赤く染まる。
(わけがわからんが……まあ良い)
(●●●が笑うなら、何でも良い)
ほっと息をつき、●●●の薔薇色の頬を撫でた。
っ……
すると、●●●が腕を伸ばし、そっと胸元に抱きついてきた。
(ん……?)
…ごめんなさい、信長様
鼻先を胸板に埋め、切なげな声が響く。
三日間も黙りこんで、嫌な思いをさせて、ごめんなさい
(…まったくだ)
ああ、反省しろ。貴様の笑みを見られず、俺はここ数日苦しかった
っ…でも、他の女の人に、あんなふうに触らせちゃだめです
は?
お酌しながら、何度も抱きつかれてるのを見て……
やっぱり、嫉妬せずにいられませんでした
信長様は……私の、かれし、なのに
(●●●……)
(不思議なものだ。●●●が相手なら、嫉妬心さえ心地よい)
愛おしさに駆られて、●●●の身体を腕の中に閉じ込める。
では、俺も反省する。今後は、貴様以外にこの身には触れさせん
だが……本当に、貴様が嫉妬をする理由などない
●●●の頬に手を添え、顔を上げさせる。覗きこんだ瞳が少しうるんでいて、身の内の熱を煽った。
俺にはどのみち、貴様しか見えん
この世でただひとり、貴様だけが愛おしい
信長様……
花がほころぶように、●●●が笑う。
(…甘いな)
(金平糖の数倍、甘い)
●●●の笑み、声、身体、心……
それが信長にとって、この世でもっとも好きな、甘いものだ。欲しい、と思うよりも先に身体が動き、●●●の唇を塞いでいた。
ん……っ
はかない声ごと奪って、きつく抱きしめる。
…生まれて初めて、嫉妬の甘さと仲直りの方法を知った。きっとこれからも沢山の初めてが、自分と●●●に待ち受けている。
(●●●への愛おしさは、尽きることはないだろう)
(この乱世に確かなものなど何もない。……そう思っていた、貴様に遭うまでは)
(今はひとつ、永遠を知っている)
(貴様への想いだ)
抱き締め合い、温もりを分かち合い、愛に溺れる。
この幸福な日々を永遠に終わらせないことを、数多の口づけとともに、胸に誓いながら。
あまーーーい!
特典はさらにあるぞ!
両ルート恋度MAX特典ボイス
この乱世に確かなものなど何もない。そう思っていた貴様に逢うまでは……
今はひとつ、永遠を知っている。……貴様への想いだ