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イケメン革命 | シリウス=オズワルドプレミアストーリー③「無敵になれる夜」

このページではイケメン革命シリウスのプレミアストーリーをネタバレしていくよ!!

今回の「無敵になれる夜」第15話後半のアバター試練プレミアストーリーになるぞ!!

プレミアストーリー「無敵になれる夜」

シリウスの作戦により、見事、公会堂を取り戻した黒の軍。

これはその夜の祝杯のお話。

※主人公の名前を呼ぶ部分は●●●にしています。


作戦完了、公会堂はレイとフェンリルの隊が占拠した

(よかった……!)

ルカがもたらした知らせに、談話室に集まった兵たちから歓声があがる。
ケガ人の兵たちの経過が落ち着いてきたのもあって、黒の軍の空気は一夜にして様変わりした。
今夜は兵舎に待機しているメンバーで、ささやかな祝杯をあげることになった。

ルカ。伝令お疲れさん。魔宝石の搬出も助かった

届けた分、セスが使い果たしたみたい。当分、節約生活しないと……

ま、なんとかなるだろ

(信じられないな……。たった1日で形勢を逆転させちゃうなんて)

●●●……? ぼうっとしてるけど、平気?

ちょっとびっくりしちゃって……。あまりにもことがうまく運んだから

事前に言ってあっただろ、攻守交代するって

シリウスさんは、ちょっとした業務連絡について話しているような口ぶりだ。

(成功を疑ってなかったんだな。本当にすごいよ)

飲み物、もらってくる。軽めのお酒でも飲めば、●●●も落ち着くと思う

ありがとう、ルカ

ルカが離れていき、テーブルにはシリウスさんと私が残った。

……みんなの役に立ちたいなんて、私の思いあがりでしたね。全然、必要なかったです

なに言ってる。単に役割分担の話だろ

戦うのが俺たちの仕事だ。で……

(あ……っ)

シリウスさんが指先で私の頬を押し、口角を持ち上げる。

これが、あんたの仕事

(笑うことが、仕事……?)

脅かしてくる奴ら相手に、わざわざ生真面目に怯えてやるこたない
笑ってろ。そうすればどんな勝負も、あんたの1点先取だ

ま、最終的に勝つかは別だがな

笑ってれば、少なくとも完敗にはならない……そういうことですか?

よく出来ました

シリウスさんの言葉が、私の無力感を自然と消してくれた。
触れる指先に添って、自然と笑みが溢れてくる。

お待たせ。……何してるの?

いや、なんでもない

すっと手を引くと、シリウスさんはルカからグラスを受け取った。

(……ほっぺた、触られちゃった)

口元が緩んでしかたなくて、下唇をきゅっと噛む。
シリウスさんは特に何も感じていないらしく、涼しげな顔でグラスを傾けている。

●●●も、はい

ありがとう。……あ、白ブドウのジュースだ。美味しいね

しまった……! 渡し間違えた。それ、シリウスの分だ

ああ……言われてみれば酒だな、こりゃ

(シリウスさんが真っ赤になってる……! お酒、弱かったの!?)

シリウス、ごめんなさい……

気にするな。この程度なら問題ない

にしても、おかしいな。普段のシリウスなら、香りでお酒だって気付くのに……

おいルカ、たくさん美味い物食って休めよ。明日からも頼むな

え、うん……

シリウスさんは耳まで赤くして、ルカの頭をくしゃくしゃ撫でた。

いつも頑張ってくれてありがとな、ルカ。偉いぞ、本当に偉い

っ、ありがとう。でも、俺の前髪を編み込にするのは、ちょっと……

うんうん、似合う似合う

(さっきからずっと、ニコニコしてる……)

ルカ、どうしよう……っ

なんで●●●まで真っ赤に……っ? 酔っ払っちゃったの?

違うよ……! 可愛過ぎて困るの

可愛い? 誰が?

シリウスさんに決まってるじゃない。どうしよう、直視できない。でも見てたい……っ

そんな泣きそうな顔で言われても……

可愛いのは、●●●だろ

え……

ほら、こっちに来な。あんたも、髪、結ってやる

シリウスさんが自分の膝をポンッと叩くのを見て、気が遠くなった。

(ドキドキして心臓が変になる……。このシリウスさんは危険すぎるよ!)

シリウスさん、酔いをさまして下さい! 今、お水持ってきますね

待て

(わっ)

手首を掴まれ、引き寄せられる。
すとん、とシリウスさんの座るソファの隣に身体が沈んだ。

俺を置いてどこ行く気だ、●●●

っ、そんなこと言われたら、1ミリも動きたくなくなります……!

●●●、水、俺が持ってくるから、ここにいてあげて

くすくす笑って、ルカがそばを離れていく。
シリウスさんは私のブラウスの袖を掴み、離そうとしない。

(知らなかった。人はときめきで、瀕死になるんだな……)

シリウスさんはやがて、私の肩に頭を預けて眠ってしまい……
ささやかなパーティーがお開きになっても、起きる様子がなかった。

困った……。酔っぱらってるシリウスは、無理やり運ぼうとすると暴れるんだ

そうなんだ……。私のブラウスも離してくれそうにないよ

●●●、ごめん。今夜だけ、このままそばにいてあげてくれる?

えっ、このまま!?

シリウスは、みんなの兄様(にいさま)みたいな、頼りになる人だけど……
そんなすごい人でも、苦手なものってあるものだから

(苦手なもの……? お酒のことかな)

ルカはふかふかのブランケットを届けてくれたあと、部屋の明かりを消して去っていった。

失礼します……

緊張に震える手で、ブランケットをシリウスさんの肩にかけると、
まぶたが持ち上がり、深い色の瞳が覗いた。

ん……。ぬくい、な

ごめんなさい、起こしちゃいました?

……俺は、寝てない

(強がり言ってる……)

可愛い!と叫びたいのを、歯を食いしばって我慢する。

他の奴らは……?

みんな寝ちゃいました。もう1時近いですから

そうか……

不意に、ブラウスを掴んでいた手が緩んだかと思うと、
シリウスさんの熱い手のひらが、私の手を握り直した。

シリウスさん……っ?

……●●●、もう少しだけ、そばにいてくれるか

騒いだあとに、ひとりになるのは、寂しいだろ

え……

ぽつりと呟かれたひと言は、どこか切実で、胸を締めつけられた。
指と指が絡まり合い、繋いだ手が熱を増す。

(ルカが言ってたのは、このことだったんだ)

完全無欠のクイーンの弱点が、ひとりでいることだなんて、誰が思うだろう。

……いますよ、そばに
少なくとも今夜はずっと。だから、安心して寝て下さい

……ありがとう

シリウスさんが空いている方の手で、私の頬を優しく撫でた。

あったかいな、あんた……

伸ばされた手は、ことんと膝の上に落ちて、また寝息が聞こえ始めた。

(眠っちゃった……)

肩に乗る温もりと重みを、身じろぎもせず肌で味わう。
熱のかたまりがせり上がり、私の喉をふさいだ。

(不思議だな。私はシリウスさんより、ずっと弱くて考えなしで、守られてばっかりなのに、)
(今なら、どんな怪物が襲ってきても、やっつけられる気がする)
(きっと無敵になれる。この眠りを守るためなら)

息をひそめ、穏やかに繰り返される呼吸に耳を澄ます。
いつの間にか涙が頬を伝っていて、

「ああ、私はこの人がどうしようもなく好きなんだな」と、思い知った。

――…次の満月まで、あと13日。


主人公の健気な姿についつい応援したくなる!!